高校受験で短期間に伸びやすい教科は、暗記中心で単元ごとに独立している社会と理科です。都立入試の平均点(令和8年度)も社会59.9点が最も低く、取りこぼしが多い分だけ伸びしろがあります。英語・数学は伸びるまで時間がかかるため、毎日の時間を先に確保します。
この記事でわかること
- 残り3ヶ月(約90日)で取るべき教科別の優先順位と、その根拠
- 英語・数学・国語・理科・社会の短期で動きやすい単元・動きにくい単元
- 高校受験で伸びやすい教科・伸びにくい教科と、都立入試の教科別平均点
- 内申点が確定したあと、ペーパー対策に振れる現実的な時間配分
- 残り90日の家庭学習ルーティン構築 6ステップ
- 「うちの子だけ伸びない」と感じる時期の保護者の声かけとメンタル管理
公的情報源: 東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査の結果」(参照)
「もう間に合わないかもしれない」「何から手を付けていいか分からない」。入試まで3ヶ月を切ると、こう感じる中3生と保護者の方は少なくありません。この時期に伸びる生徒と伸び悩む生徒を分けるのは、学習量の総量より「優先順位の置き方」です。
高校受験まで残り3ヶ月(約90日)の段階でやるべきことは、点数に直結する教科と単元だけに学習を絞り、過去問→弱点単元→反復演習の順で1日のルーティンを固定化することです。残り90日は「広く浅く」ではなく「狭く深く」で点数が動く時期に入ります。
残り3ヶ月で偏差値を動かす生徒には共通点があります。それはやる教科を増やすのではなく、5教科×単元の中から得点効率が高い順に絞り直していることです。
この記事の要点
- 残り90日の可処分時間は約270〜400時間。これを得点効率が高い順に振り分けるのが基本
- 短期で伸びやすいのは社会・理科。英数は積み上げ型なので毎日の時間を先に確保する
- 英語と数学に時間の50〜60%、国語10〜15%、理科・社会15〜20%ずつが標準的な配分目安
- 過去問は「最後の腕試し」ではなく最初の起点。3年分を3周し現状との距離を数値化する
高校受験で伸びやすい教科はどれ?短期で点が動く順番
短期間で点が伸びやすいのは、社会と理科です。どちらも覚えた単元がそのまま得点になり、単元どうしのつながりが比較的弱いからです。英語と数学は前の単元の理解が次の単元の土台になる「積み上げ型」なので、伸びが点数に出るまで時間がかかります。
教科ごとの「短期での伸びやすさ」の目安
| 教科 | 伸びやすさ | 理由 | 残り3ヶ月の狙いどころ |
|---|---|---|---|
| 社会 | 高い | 用語・流れの暗記が得点に直結。単元が独立 | 歴史の流れ・地理の図表・公民の用語 |
| 理科 | 高い | 用語と典型実験・計算の型で配点の多くを取れる | 教科書の太字用語・典型実験 |
| 国語 | 部分的に高い | 漢字・古典文法は暗記で動く。読解は動きにくい | 漢字・古典の基礎 |
| 英語 | 時間がかかる | 単語と文法が長文の土台。積み上げ型 | 単語・基本構文を毎日 |
| 数学 | 時間がかかる | 計算力が全分野の土台。積み上げ型 | 計算・関数・確率の典型問題 |
伸びやすさの目安として、東京都が公表している都立入試の教科別平均点も見ておきます。
令和8年度 都立高校入試の教科別平均点(共通問題・100点満点)
| 教科 | 平均点 | 前年(令和7年度) | 受検者数 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 74.9点 | 75.0点 | 30,900人 |
| 数学 | 60.4点 | 60.4点 | 30,901人 |
| 英語 | 61.2点 | 63.7点 | 30,742人 |
| 社会 | 59.9点 | 59.9点 | 34,430人 |
| 理科 | 66.7点 | 59.2点 | 34,429人 |
出典:東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査の結果について」(令和8年2月21日実施・第一次募集・分割前期募集で全日制を志願し共通問題で受検した人が対象。2026年6月25日公表)
平均点が最も低いのは社会の59.9点、次が数学の60.4点です。社会は暗記で動く教科なので、平均で40点ほど落としている分が、そのまま伸びしろになります。理科は1年で59.2点から66.7点へ7.5点動きました。年度によって難しさが変わる教科なので、過去問は複数年分で傾向をつかみます。
ここから先は、地域を問わず使える「残り3ヶ月の配分」を整理します。
残り3ヶ月でやってはいけないこと・優先すべきこと
先に結論を整理します。残り90日で偏差値を動かす生徒は、教科を増やさずむしろ教科を絞っています。最後の3ヶ月で伸びた生徒には「やめた」勉強と「徹底した」勉強が明確に分かれているのが共通点です。
- やってはいけない3つの行動
- 優先すべき3つの行動
残り3ヶ月でやってはいけない3つの行動
失速の入り口になりやすい行動が3つあります。この3つを避けるだけで、限られた時間が分散せずに済みます。
- 新しい参考書・問題集を買い足す。残り90日で新刊に手を出すと、最後まで終わらないまま本番を迎えるパターンが多くなります。
- 苦手教科ばかりに時間を投下する。苦手は「90日でゼロから完成させる」ではなく「捨てる単元を決めてから着手する」のが現実的。全部を埋めようとして得意教科の点数まで落とすのは避けたいところです。
- 過去問を「最後の腕試し」として温存する。過去問は最後にやるものではなく、残り90日の起点に置くものです。
残り3ヶ月で優先すべき3つの行動
逆に、伸びる生徒に共通するのは次の3点。順序を整えるだけで、同じ学習時間でも結果が変わります。
- 志望校の過去問を1〜2年分先に解いて、自分との距離を数値化する。「あと何点必要か」を教科ごとに把握してから配分を決めます。
- 5教科×単元の中から得点効率が高い順に並べ直す。可処分時間(平日2〜3時間・休日5〜7時間が現実値)を優先順位の上から順に埋めます。
- 家庭学習のルーティンを「曜日」ではなく「時間帯」で固定する。曜日でブロックを決めると体調や塾の予定で崩れます。「夜8時〜9時は英単語」のように時間帯で固定したほうが崩れにくい傾向があります。
保護者の方へ
- お子さんに「もっと頑張りなさい」と言わなくて大丈夫です。本人は十分焦っています
- 代わりに「今週、何の単元を何時間やる予定なのか」を一緒に紙に書き出す。それだけで本人の頭の中が整理されます
- 有効なのは「叱る声かけ」ではなく「整理する声かけ」です
残り3ヶ月でやれることを時間で見積もる
残り90日でやれることは限られていますが、優先順位を間違えなければ点数は動きます。逆に、優先順位を間違えると限られた時間が分散します。
難問より「取りこぼしゼロ化」から
公立高校入試は教科書の範囲から出題されます。平均点が60点前後の教科では、正答率の高い問題を落とさないことが合計点を左右します。残り90日で取るべきは「難問対策」ではなく「基礎・標準の取りこぼしゼロ化」。これが優先順位の起点になります。
基礎を「考えずに手が動く」状態へ
基礎が固まっていない状態で応用問題に挑むと、解説を読んでも腑に落ちないまま「分かった気」で終わりやすいもの。残り90日では、応用に手を出す前に基礎を「考えずに手が動く」状態まで持ち上げるほうが、結果的に応用の伸びも早くなります。
中3の学習時間と可処分時間の目安
ここでは、残り3ヶ月に平日2〜3時間・休日5〜7時間を確保できる場合で見積もります。部活を引退した中3なら、無理のない範囲で組める時間です。
| 区分 | 1日の目安 | 残り90日の総量 |
|---|---|---|
| 平日(約65日) | 2〜3時間 | 約130〜195時間 |
| 休日(約25日) | 5〜7時間 | 約125〜175時間 |
| 合計 | — | 約270〜400時間 |
残り90日の可処分時間は約270〜400時間。これを5教科+過去問演習+復習に振り分ける設計が必要です。次の章から、教科別に優先順位を整理します。
残り3ヶ月の教科別優先順位(5教科の動きやすさ比較)
ここからは5教科を「動く単元」「深追いしない単元」の観点で整理します。結論は、英語と数学を軸に置き、国語・理科・社会で底上げを狙う配分です。
教科別 残り90日の優先度・時間配分 比較表
各教科の短期での動きやすさと時間配分の目安は次の通りです。まずはこの叩き台から、志望校の配点と本人の現状で調整します。
| 教科 | 短期で動きやすい単元 | 深追いしない単元 | 90日の時間配分目安 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 英単語・基本文法・長文の頻出パターン | 未習の難文法・難単語 | 25〜30%(最優先) |
| 数学 | 計算・1次関数・確率・図形基礎 | 高難度の証明・複合問題 | 25〜30%(最優先) |
| 国語 | 漢字・古典文法・要約練習 | 読解感覚に頼る難解な文章 | 10〜15% |
| 理科 | 用語暗記・典型実験・計算パターン | 範囲外の発展実験 | 15〜20% |
| 社会 | 歴史の流れ・地理の図表・公民の用語 | 細かすぎる年号・人名 | 15〜20% |
時間配分は目安です。志望校の配点・本人の現状偏差値・内申点との合算式で調整します。「英数で6割、理社で3割、国語で1割」が、最初の叩き台として採用しやすい配分です。
なぜ英語と数学に時間を多く置くのか
伸びやすいのは社会・理科ですが、時間を多く置くのは英語と数学です。英数は積み上げ型なので、毎日触れないと伸びが出ず、離れるとすぐ落ちるからです。英語は単語+基本構文を固めるだけで長文の読みやすさが変わります。数学は計算と基本パターン(1次関数・確率・図形)が出題の多くを占め、ここを落とすと総点が落ちます。
公立高校入試の配点比率(おおむね各教科100点満点・5教科500点)から見ても、英数の重要度が高いのは妥当な整理です。英数で稼げると、理社で多少崩れても合格ラインに乗りやすいという構造になります。
【英語】単語→構文→長文の順で固める
英語が伸び悩む原因は、ほぼ例外なく語彙量の不足です。単語が入っていなければ、文法問題も長文読解も土俵に乗りません。残り90日で英語に手を入れるなら、順序は「単語→基本構文→長文の頻出パターン」の3段で進めます。
単語:1日100語を回す高速反復型
「書いて覚える」「声に出す」「黙読で高速回転」のどれが合うかは生徒によって違います。大切なのは方法ではなく、1単語1秒×100語を毎日回せるかどうか。
これは「やる気」ではなく「習慣化」の問題です。夜の歯磨きとセットにするなど、行動連鎖でルーティン化するのが続けるコツになります。
文法:基本5文型+頻出構文20に絞る
残り90日で文法書を1冊終わらせるのは現実的ではありません。基本5文型と、不定詞・動名詞・関係代名詞・受動態・現在完了といった頻出構文20個に絞るのが効率的です。
「問題集の例文を音読する」「日本語訳からの英作文をやる」の2方向で固めます。新しい文法書には手を出さず、学校で配られた問題集を3周するのが現実解です。
長文:志望校の頻出ジャンルに合わせる
長文の出題は、志望校によって「物語文寄り」「説明文寄り」「対話文寄り」と傾向があります。志望校の過去問3年分でどのジャンルが多いかを把握し、市販の長文問題集で自分の志望校に似たジャンルだけ集中して解くのが効率的です。
「長文を毎日1題」よりも「自分の志望校ジャンルを5題ずつ復習」のほうが、点数の伸びは早くなります。
残り90日の英語は3層に絞る
- 教材を足さず、手持ちを回し切る
- 単語1単語1秒×100語を毎日。夜の歯磨きとセットにして習慣化する
- 文法基本5文型と頻出構文20に絞り、学校の問題集を3周する
- 長文志望校の過去問3年分で頻出ジャンルを把握し、そこだけ集中して解く
図:残り90日の英語は単語・文法・長文の3層に絞る。教材を足さず、手持ちを回し切る。
【数学】計算力と頻出パターンで基礎特化型に振る
数学が苦手な生徒の多くは、「応用問題が解けない」のではなく基礎計算で時間を取られていることが本当の原因です。計算スピードが上がると見直し時間が生まれ、結果として総得点が上がります。
毎日10〜15分の計算ドリルを外さない
計算は筋肉と同じで、1日空けると感覚が鈍ります。残り90日で数学を伸ばしたいなら、計算ドリルを毎日10〜15分、切らさずに続けることが土台になります。
「やる気がある日にまとめて60分」ではなく「気分が乗らなくても毎日10分」。最終的な伸びは、毎日続けたほうが大きくなります。
頻出パターン3単元に絞る
高校入試の数学は、関数(1次・2次)・確率・図形(合同・相似・三平方)の3単元が頻出パターンとして毎年出題されます。残り90日では、この3単元の典型問題を「考えずに手が動く」状態まで反復するのが効率的です。
難問の応用に手を出すよりも、基礎・標準を取り切るほうが点数の上振れは大きいという構造になります。
捨てる判断:最後の難問は捨て札にする
入試本番、各教科の最終問題に難問が配置されることがあります。本人の現状偏差値と志望校の合格最低点を見比べて、最後の難問は捨てると決めてしまうのも有効な戦略です。
難問1問に20分使って解けないより、基礎10問の見直しに20分使って取りこぼしをゼロにするほうが合計点は伸びます。
【国語・理科・社会】暗記で動く部分から固める
理科・社会と、国語の漢字・古典は、英数に比べて短期で動きやすい部分です。残り90日で点数の底上げを狙うなら、ここの時間配分が効きます。
国語:漢字と古典文法で底上げ
国語の配点で確実に取れるのは、漢字(読み・書き)と古典の文法・基礎単語です。現代文の読解は感覚に依存しやすく短期では伸ばしにくい一方、漢字と古典文法は1日15分×3ヶ月で目に見えて点数が動きます。
「読解は現状維持、漢字と古典で底上げ」の発想で動くと、国語は崩れにくくなります。
理科:用語暗記+典型実験の2軸
理科は「用語を知っているかどうか」で配点の半分が決まる教科です。残り90日では、教科書の太字用語と典型実験(化学反応・物理計算・生物の対照実験・地学の天体運動)のパターンを覚え切るほうが、難問演習より点数が動きます。
「教科書を3周+問題集を1周」のサイクルで、取りこぼしを減らしていきます。
社会:歴史の流れと公民の用語を分ける
社会は教科書3周+一問一答が定番ルートです。歴史は「流れで覚える」、地理は「図表とセットで覚える」、公民は「用語の意味を一行で説明できるようにする」。この3軸で整理すると暗記漏れが減ります。
歴史漫画を活用するのも有効です。年号の暗記ではなく「なぜその出来事が起きたか」を語れる状態を作れます。
過去問は「最後の腕試し」ではなく「最初の起点」
過去問について一番多い誤解は「最後の腕試しとして温存する」です。残り90日では、過去問は最初の起点。志望校の過去問1〜2年分をスタート時点で解き、距離を数値化することから始めます。
過去問の3周回し方
過去問は3周回します。1周目は「現状把握」、2周目は「解き直し」、3周目は「時間配分の最終確認」です。1周目で時間内に解き終わらなくても問題ありません。
「あと何点必要か」「どの単元で失点しているか」を可視化することが目的。2周目以降は、間違えた問題の「なぜ間違えたか」を1問1行で書き出すと、同じパターンの失点を減らせます。
過去問の3周回し方
- 11周目:現状把握時間を測って解き、合格最低点との差を教科別に書き出す
- 22周目:解き直し間違えた問題の「なぜ間違えたか」を1問1行で書き出す
- 33周目:時間配分の確認本番の時間配分を体に染みこませる
5年分に広げず、3年分を3周=合計9回解く。
図:過去問は残り90日の起点。3年分を3周し、合格最低点との距離を数値化してから走る。
過去問は3年分でいい
過去問は何年分やればいいか。答えは3年分を3周です。5年分以上に手を広げると、出題傾向の変化を追えなくなり復習が薄くなります。
3年分を3周=合計9回解くことで、同じ問題でも気づきが変わり、本番の時間配分が体に染みこみます。
残り3ヶ月の家庭学習ルーティン構築 6ステップ
ここまでの優先順位を、実際の家庭学習ルーティンに落とし込む手順を6ステップで整理します。やる量を増やすのではなく、やる順番を整えるのがポイントです。
- 過去問1年分で目標との距離を数値化する(DAY1〜3)
- 5教科の時間配分を「英数で6割」を起点に決める(DAY3〜5)
- 1日の時間帯ブロックを固定する(DAY5〜7)
- 単語・計算ドリルを習慣化トリガーとセットにする(DAY7〜)
- 週末に振り返り15分を入れて配分を再調整する(毎週)
- 残り3週間から過去問+弱点単元の往復に切り替える(DAY70〜90)
STEP1:過去問1年分で距離を数値化する(DAY1〜3)
まず過去問1年分を時間を測って解きます。教科ごとの点数を出し、合格最低点との差を確認。「あと何点必要か」を教科別に書き出すのがこのステップのゴールです。
本人と保護者で一緒に紙に書き出すこと。一人で抱え込まないだけで、本人のメンタルは想像以上に軽くなります。
STEP2:5教科の時間配分を決める(DAY3〜5)
STEP1で出した「あと何点必要か」を踏まえ、5教科の時間配分を決めます。英語30%・数学30%・国語10%・理科15%・社会15%を初期値とし、本人の得意・不得意で±5%ずつ動かすのが現実的です。
配分を決めたら紙に書いて、机の前に貼る。これだけで日々の迷いがほぼ消えます。
STEP3:1日の時間帯ブロックを固定する(DAY5〜7)
「夜8時〜9時は英単語」「9時〜10時は数学計算ドリル」のように、時間帯にタスクを固定します。曜日ブロックは塾・部活・体調で崩れやすく、時間帯ブロックのほうが崩れにくい傾向です。
「土日は5時間以上」と決めるより「土日は朝10時〜12時+午後2時〜5時」と時間帯で決めるほうが続きます。
STEP4:単語・計算ドリルを習慣化トリガーとセットにする(DAY7〜)
単語暗記と計算ドリルは、3ヶ月毎日続ける必要があります。「歯磨きの直後に英単語100語」「夕食の前に計算ドリル10分」のように既存の行動連鎖に組み込むと、意志の力に頼らず継続できます。
「やる気」を当てにしないのが、習慣化のコツです。
STEP5:週末に振り返り15分を入れる(毎週)
1週間ごとに「何ができて、何ができなかったか」を15分振り返ります。できなかったことが続く科目は、配分を5%上げるかやり方を変えます。
振り返りなしに3ヶ月走ると、最後の3週間で「あの単元、結局やれなかった」となりやすいもの。週1回の15分が、最後の3週間を救います。
STEP6:残り3週間は過去問+弱点単元の往復(DAY70〜90)
残り3週間に入ったら新しいことには手を出しません。過去問3周目+弱点単元の演習を往復するフェーズです。
「新しい問題集を買う」「未習の単元に手を出す」は、この時期に避けたい行動。やってきたことを定着させ、時間配分を体に染みこませることに集中します。
内申点が確定したあとのペーパー対策
中3の2学期末で内申点が確定する地域が多く、残り3ヶ月はペーパー対策に集中できる期間になります。それまで定期テスト対策に充てていた時間を、入試本番のための演習に振り替えられる転換点です。
内申点確定後にやめていいこと・続けること
内申点が確定したら、定期テスト対策の教科書範囲精読は一旦区切ります。ただし、提出物・授業態度は引き続き丁寧に。合否判定で内申点と入試点の合算式を使う地域では、最後の通知表まで内申点に影響する可能性があります。
地域・学校の制度は、各都道府県教育委員会の選抜要項で確認するのが確実です。全国の状況は文部科学省「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」にまとまっています(文部科学省)。
合算式によって時間配分は変わる
合否判定が「内申点:入試点 = 5:5」の地域と「3:7」の地域では、残り90日の戦略が変わります。
| 合算式の傾向 | 残り90日の方針 |
|---|---|
| 内申点比率が高い(5:5など) | ペーパーで稼げる上限が小さい → 失点を最小化する発想 |
| 入試点比率が高い(3:7など) | ペーパーで動かす余地が大きい → 英数中心の攻めの配分 |
志望校の合算式を、保護者と本人で先に確認しておく。ここを押さえるだけで、限られた時間の振り分け方が変わります。
保護者の声かけと本人のメンタル管理
残り3ヶ月は、本人のメンタルが特に揺れやすい時期です。有効なのは「叱る声かけ」より「整理する声かけ」。ここを押さえると、本人が机に向かう時間が変わります。
保護者の方への3つの提案
保護者にできるのは、勉強を教えることより環境を整えることです。次の3点が効きます。
- 「もっと頑張りなさい」ではなく「今週、何の単元を何時間やる予定?」:整理を手伝うだけで、机に向かう時間が変わります
- 食事と睡眠を整える担当を保護者が引き受ける:睡眠時間が安定している中3のほうが学習効率が高い傾向があります
- 「友達の○○ちゃんはもっと頑張ってる」型の比較は避ける:比較は本人のモチベーションをほぼ確実に削ります
「うちの子だけ伸びない」と感じる時期について
中3の冬、「自分だけ伸びていない気がする」と感じる生徒は少なくありません。実際は伸びていないのではなく、偏差値の伸び方が直線ではなく階段状なので、本人の自覚と数字の動きにタイムラグがあるだけ、というケースがほとんどです。
2ヶ月地味に積み上げた生徒が、3ヶ月目に一気に伸びるパターンが多いもの。地味な反復を続けることが、最後の伸びにつながります。
残り3ヶ月の周辺ノウハウは以下に整理しています。残日数別・教科別に合わせて読むと、本記事の優先順位がより具体的に落とし込めます。
- 高校入試直前の勉強法!残り1ヶ月で点数を最大化する過去問活用・教科別対策・体調管理
- 30日で成績を底上げ!短期集中で偏差値を上げる勉強法の全手順
- 高校受験|部活引退からでも間に合う、偏差値を短期間で底上げする3ステップ効率化勉強法
- 高校受験を突破する効果的な勉強法!5教科別の対策と逆転合格の戦略
- 高校受験|偏差値を着実に上げる効率的な学習スケジュールの組み方
よくある質問
残り3ヶ月の段階で繰り返し出てきた質問を整理します。
Q1:残り3ヶ月で偏差値はどれくらい動きますか?
伸び幅は個人差が大きく、何点上がるとは言えません。残り3ヶ月でも、伸びやすい社会・理科と、国語の漢字・古典から固めれば点数は動きます。
大事なのは「全教科を均等に」ではなく、「英数は毎日の時間を確保し、伸びやすい単元から固める」順序です。基礎の取りこぼしを埋めるだけで点数が動く余地はまだあります。
Q2:高校受験で伸びやすい教科はどれですか?
短期で伸びやすいのは社会と理科です。暗記中心で単元が独立しているため、覚えた分がそのまま得点になります。令和8年度の都立入試でも社会の平均点は59.9点と5教科で最も低く、取りこぼしが多い分だけ伸びしろがあります。英語・数学は積み上げ型なので、伸びが出るまで時間がかかります。
Q3:苦手教科に時間を多く使うべきですか?
残り90日では、苦手教科に時間を全振りする戦略はあまり推奨しません。苦手教科は「捨てる単元を決めてから着手する」のが現実的で、得意教科の取りこぼしを失わないことのほうが合計点では効きます。
苦手1教科に時間を全振りすると、得意教科まで崩れて総合点が下がるケースが目立ちます。「苦手は失点を最小化、得意は満点を狙う」のが残り90日の発想です。
Q4:過去問は何年分やればいいですか?
3年分を3周が基本です。5年分以上に手を広げると、出題傾向の変化を追えなくなり、復習が薄くなります。
3年分を3周=合計9回解くことで、同じ問題でも気づきが変わり、本番の時間配分が体に染みこみます。過去問は「最後の腕試し」ではなく「最初の起点」で、残り90日のスタート時点で1年分解いて距離を数値化することから始めてください。
Q5:塾なしで残り3ヶ月を乗り切れますか?
塾なしでも、家庭学習のルーティンが組めていれば十分に乗り切れます。学校外学習費の支出には大きな個人差があり、家庭学習中心で受験を乗り切る家庭も一定数存在します(文部科学省 子供の学習費調査)。
大事なのは「塾に通うかどうか」ではなく「家庭学習のルーティンが固定化できているかどうか」です。
Q6:模試の判定が悪くて本人が落ち込んでいます。どう声をかければいいですか?
「判定は今の自分との距離。残り日数で動かす対象」と整理してあげてください。判定はあくまで現時点のスナップショットであり、最終的な合否ではありません。
判定E→Cで合格、Aで不合格というケースもあります。判定の数字に一喜一憂するより、判定から「あと何点必要か」を逆算する作業のほうが、行動に直結します。
Q7:睡眠時間を削って勉強した方がいいですか?
睡眠を削って最後まで伸び切るケースは多くありません。睡眠時間が安定している中3のほうが学習効率が高い傾向があり、睡眠は「削るコスト」ではなく「投資先」と考えたほうが結果が出やすいところです。
6〜7時間は確保し、その範囲内で時間配分を最適化するのが現実的です。
Q8:残り3ヶ月、過去問以外に何を解けばいいですか?
学校で配られた問題集とワークの「間違えた問題だけ」を3周し、余裕があれば志望校の出題形式に合った市販の標準レベル問題集を1冊だけ買い足す、という型が無理がありません。新刊を複数買うのは残り90日では避けてください。
「終わらない」が最大のリスクで、終わらない問題集が机に積み上がるとメンタルに直撃します。
Q9:入試前日・当日はどう過ごせばいいですか?
前日は新しいことをやらず、これまでにまとめた弱点ノートと過去問の見直しに留めます。当日は朝食を取り、温かい飲み物を持参して体温を一定に保つこと。
当日の不安は「準備不足」ではなく「準備したことを覚えているか」への不安が主因です。「やってきたことを思い出す」ためのノートを1冊作っておくと、当日の支えになります。
まとめ:残り3ヶ月で大切な5つの整理
本記事の要点を最後に整理します。
この記事のまとめ
- 残り90日は「全教科を広く」ではなく「教科を絞って深く」に切り替える時期。可処分時間は約270〜400時間
- 英語と数学に学習時間の50〜60%、国語10〜15%、理科・社会15〜20%ずつが標準的な配分目安
- 過去問は「最後の腕試し」ではなく「最初の起点」。3年分を3周し、現状との距離を数値化してから走る
- 短期で伸びやすいのは社会・理科(都立入試の平均点も社会59.9点が最低)。難問対策より基礎の取りこぼしゼロ化のほうが点数が動く
- 本人のメンタルは「叱る声かけ」より「整理する声かけ」で安定する。保護者が一緒に紙に書き出すだけで頭は整う
次に取るべき行動は3つです。今日、過去問1年分を解くところから始めれば、残り90日の起点が作れます。
- 志望校の過去問1年分を、今週中に時間を測って解く
- 出た点数から「あと何点必要か」を教科別に紙に書き出し、保護者と一緒に確認する
- 5教科の時間配分(英数で50〜60%が起点)を決め、1日の時間帯ブロックを固定する
順序さえ整えば、残り90日でも点数は動きます。最終的な進路の決定は、ご家庭で話し合ってお決めください。
免責事項
※本記事は公開情報をもとにした整理です。入試制度・選抜方法・学習費などは地域や年度によって変動するため、最終的な判断は各教育委員会・志望校の最新情報、および文部科学省等の公的情報をご確認のうえご判断ください。

