買ったばかりの参考書を開いて、1ページ目から蛍光ペンで線を引いていく。多くの受験生が自然にやっている行動です。ところが、この「いきなりアンダーライン」が、復習のときにかえって足を引っ張ることがあります。
問題は線そのものではありません。引く順序・引く時期・引く対象を間違えると、線がノイズに変わるのです。指導の現場でも、初日から真っ赤に塗った参考書が機能していなかったケースは少なくありませんでした。
この記事では、文部科学省や学習科学の知見と、受験指導の現場感覚を重ねて、参考書とアンダーラインの正しい付き合い方を整理します。色分けの数や時期、教科別の引き方まで、今日から運用を切り替えられる形でまとめました。
参考書のアンダーラインは「引けば伸びる」道具ではなく、引く順序・時期・対象で効果が決まります。初回は線を引かず通読し、2回目は鉛筆で弱点だけ、3回目に蛍光ペンという順番を守ると、線が自分専用の弱点マップになります。
この記事でわかること
- 初日からの線引きが復習のノイズになりやすい理由を、判断材料・達成感・想起の3点で整理
- 線を引く前に効くメタ認知(自分の理解度を客観視する力)と、効果が確認された学習方略の関係
- 線がノイズではなく道具に変わる5ステップの正しい順序(通読→鉛筆→3回目に蛍光ペン)
- 数学・英語・社会・理科・国語で変わる教科別の引き方ルール
- 4月・夏・秋・直前期で切り替える時期別の参考書の使い方
結論を先に書きます
アンダーラインは「引けば伸びる」道具でも「引いたら駄目」な道具でもありません。機能するかどうかは、引く順序・時期・対象で決まります。初回は線を引かずに通読し、2回目は鉛筆で弱点だけに薄く印を付け、問題演習や模試で弱点が見えた3回目に初めて蛍光ペンを使う。この順序を守ると、線が自分専用の弱点マップになります。
逆に、初日から手当たり次第に塗ると、ページの大半に線が入り、復習のときにどこを優先すべきか分からなくなります。線の本数と理解度は一致しません。
- 初日の線引きは重要度の判断材料が手元にない状態で行われるため機能しにくい
- 線を引く作業は「勉強した気」という達成感を生み、理解の確認を飛ばさせる
- 正しい順序は通読→鉛筆の薄い印→3回目に蛍光ペン→月1点検の5ステップ
- 色は2色までに絞り、教科ごとに引く対象を変えるのが現実的
いきなりアンダーラインを引く受験生の3類型
新しい参考書を初日から塗り始める受験生は、行動のクセで大きく3つに分かれます。共通点は「線を引くこと」自体が目的化していることでした。まずは自分がどのタイプに近いかを確認してみてください。
- とりあえず線を引かないと不安タイプ
- 先生が言った重要箇所だけマーキングタイプ
- 全色フル装備・5色塗り分けタイプ
類型A:とりあえず線を引かないと不安タイプ
最も多いのが、何も書き込まないと落ち着かず、目に入った重要そうな単語に手当たり次第に線を引くタイプです。4月後半には参考書の前半が真っ赤になり、それでも成績が伸びないという相談につながりやすいパターンでした。
このタイプは線を引くこと自体が満足になりがちです。引いた箇所を翌週に説明してもらうと、半分以上が答えられないことも珍しくありません。手は動いているけれど、頭が動いていない状態が起きています。
類型B:先生が言った重要箇所だけマーキングタイプ
授業で講師が「ここ大事」と言った箇所だけに線を引くタイプも一定数います。一見すると目的的ですが、基準が自分の理解度ではなく講師の発言になっている点が落とし穴です。
講師が重要と言う箇所は、平均的な生徒の弱点であって、その人自身の弱点とは限りません。このタイプは「やっているのに点が伸びない」状態に入りやすく、秋以降に学習計画を組み直す必要が出やすい傾向がありました。
類型C:全色フル装備・5色塗り分けタイプ
定義は赤、例題は青、注意点は黄、間違えた箇所は緑——と細かいルールで塗り分けるタイプです。本人は緻密なシステムを作った気持ちになりますが、色分けルールの維持自体に時間を取られ、肝心の演習が削られます。
色を増やせば理解が深まるわけではありません。結果を出していた人の多くは、むしろ色を絞り、線を引く対象を絞り、引いた後の使い方まで設計していました。
2026年の受験生が置かれている学習環境
個別の勉強法に入る前に、2026年時点で受験生が置かれている学習環境を公的データで整理します。「線を引いて止まる学習」は、今の教育の方向と合っていません。
「主体的・対話的で深い学び」への転換
文部科学省は2017年告示の学習指導要領で、受動的な学習から能動的な学習への転換を打ち出しました(文部科学省 学習指導要領 2026年5月閲覧)。柱は「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の3つです。
ここで大切なのは、線を引く学習が悪いのではなく、線を引いて止まる学習が方向とずれているという点です。線を引いた後に、自分の言葉で要約する・演習で確認する・人に説明するという能動的なプロセスとセットにすることで、線がはじめて深い学びにつながります。
メタ認知が成績上昇と関連する
ベネッセ教育総合研究所は、東京大学社会科学研究所との共同で長期追跡調査を続けており、「自身の学習を客観視するメタ認知が高い生徒ほど成績が上昇する傾向にある」と報告しています(ベネッセ教育総合研究所 2026年5月閲覧)。
夏以降に伸びる生徒の共通点も、このメタ認知と重なります。「今の自分は何が分かって何が分かっていないかを言語化できる」「模試の結果を次の動きに翻訳できる」といった行動です。アンダーラインに置き換えると、線を引く前に「この単元のどこが弱点か」を一度言語化した人のほうが、後で線が機能していました。
効果が確認されている3つの学習方略
学習科学の領域では、効果が確認されている学習方略として「想起練習」「分散学習」「精緻化」の3軸が繰り返し挙げられます(国立教育政策研究所 教育課程研究センター 2026年5月閲覧)。
アンダーラインだけでは、この3軸のどれにもなりにくいのが実情です。線を引いた箇所を翌週に閉じた状態で思い出す・1か月後に開き直す・自分の言葉で説明し直す。このプロセスを挟んだときに、はじめて線が学習効果につながります。記憶の仕組みを踏まえた暗記の手順は暗記法のコツでも整理しています。
線引き自体の効用は「控えめ」に位置づけられる
学習科学の整理では、想起練習や分散学習と比べたとき、ハイライトやアンダーラインは単体での効用が控えめな方略に位置づけられてきました。線を引く作業が受け身で終わりやすいことが理由です。
ただし「効果ゼロ」という話ではありません。引いた線を、想起・演習・要約という能動的な行動につなげたときだけ効くという、条件付きの道具と捉えるのが正確です。
もう一つ、心理学には「孤立効果」という現象があります。周囲から目立つ要素ほど記憶に残るという働きで、線が少ないほど強く働きます。ページの大半に線を引くと、この効果は打ち消されてしまう。「引く量を絞る」という運用には、感覚論だけでなく理屈の裏付けがあるわけです。
いきなりアンダーラインが機能しにくい3つの理由
初日からの線引きを控えてほしい根拠は、シンプルに3つに整理できます。難しい脳科学を持ち出さなくても、現場の実感で説明がつく内容です。
- 重要度を判断する材料がまだ手元にない
- 線を引く作業が「勉強した気」を作り出す
- 復習時に「答えが見えている状態」になる
理由1:重要度を判断する材料がまだ手元にない
初めて参考書を開く時点では、その単元の地図をまだ持っていません。地図がない状態でマーキングすると、ページの大半に線が入り、後から見返したときにどこを優先すべきか分からなくなります。
重要度の判断には、その単元を一度通読し、自分のレベルと比較する順序が必要です。だからこそ、初回の通読は線を引かずに通すのが基本になります。
理由2:線を引く作業が「勉強した気」を作り出す
手を動かして線を引くと、脳内で軽い達成感が生まれます。「今日は30ページ進めた」と感じても、その内容を翌週まったく説明できない、ということが起こります。
これは責められる話ではなく、人間の脳がそうできているという話です。達成感に流されると、練習量に対して身に付く量が減ります。線を引いた直後にその箇所を閉じ、自分の言葉で要約させる一手間で、素通りを防げます。
理由3:復習時に「答えが見えている状態」になる
大量に線が引かれた参考書は、2回目以降に開いた瞬間、「ここが重要」というヒントが目に飛び込んできます。すると、線の箇所を眺めて満足し、「次に出たら解けるか」の確認を飛ばしがちになります。
復習で本来取りたいのは、ページを開いて自分の頭で要点を思い出してから本文と照合する、という想起のステップです。線が多すぎる参考書は、この想起の機会を奪います。最初の通読では線を引かず、線は3回目以降に引くのが、この理屈から導かれる結論です。
アンダーラインを引く正しい順序(5ステップ)
ここからが具体的な運用ルールです。学習科学で効果が確認された想起練習・分散学習・精緻化と、現場で結果を出した人の行動を組み合わせた5ステップの順序を整理します。
- 初回は線を引かずに通読して、単元の地図を作る
- 2回目は鉛筆で、自分の弱点だけに薄く印を入れる
- 問題演習と模試結果を踏まえ、3回目で初めて線を引く
- 色は2色まで、ルールはシンプルに固定する
- 月1回、線が古くなっていないか点検して消す
ステップ1:初回は線を引かずに通読する
新しい参考書を買ったら、最初の通読では蛍光ペンもボールペンも触らないのが第一原則です。1単元を30〜45分で目を通し、章タイトル・小見出し・図表のキャプションだけを意識的に追いかけます。鉛筆で薄く「?」を付ける程度は許容範囲ですが、蛍光ペンは封印します。
この段階で作りたいのは地図です。「この単元には何が書いてあるか」「知らない用語はどこに集中しているか」「全体の難易度はどのくらいか」。地図ができてはじめて、どこに線を引くかの判断材料が揃います。
ステップ2:2回目は鉛筆で弱点だけに薄く印を入れる
初回通読が終わったら、2回目は1単元を60〜90分かけて内容を理解しながら読みます。ここでも蛍光ペンは使わず、シャープペンシルで薄く「○=理解できている」「△=怪しい」「?=分からない」の3記号だけを付けます。
この段階で△と?を5〜10個に絞れると、その後の演習計画が組みやすくなります。逆に2回目で蛍光ペンを使うと、△と?の判断が線の色に隠れて見えなくなり、復習で苦労しがちです。
ステップ3:3回目で初めて線を引く
2回目通読の後、対応する問題集や模試で弱点を実際の出題形式で確認します。「分かっているつもりの単元で点を落とした」「△の箇所が出題された」といった発見をもとに、3回目に参考書を開いたときに初めて蛍光ペンを使います。
この順序を守ると、引く線が「本当に重要な箇所」だけに絞られ、ページの2〜3割に線が入る程度でノイズになりません。どこで弱点を見つけるかは、模試の活用法とE判定からの逆転で扱った模試の使い方とも直結します。
ステップ4:色は2色まで、ルールを固定する
線を引く色は、青と赤の2色に絞るのがおすすめです。青は「定義・公式・固有名詞などの動かない事実」、赤は「自分がよく間違える箇所・理解しにくい箇所」という分担にします。
3色目以降は管理コストが上がる割に、学習効果が比例して上がるわけではありません。色を増やしたくなったら、まず「2色のままで困る理由」を自分で言語化してみてください。多くの場合、2色で十分という結論に落ち着きます。
ステップ5:月1回、線を点検して消す
最後のステップは、1か月に1回、参考書を開いて線を点検する時間を取ることです。フリクションのような消せるペンを使うと、点検後に消す作業が楽になります。
点検で確認するのは「この線は今の自分にまだ重要か」「この単元は完璧に答えられる状態か」の2点。完璧な単元の線は消し、新しい弱点には新しい線を引く。このローテーションを月1回回すと、参考書が常に「今の弱点マップ」として機能します。
引いた線を「使い切る」3つの復習アクション
線は引いた瞬間に効くのではなく、引いた箇所をどう使うかで効果が決まります。3回目にやっと引いた線でも、眺めるだけでは「勉強した気」で止まってしまいます。線を想起練習の入り口に変える、3つのアクションを持っておきましょう。
- 線を隠して、内容を先に思い出す
- 線の箇所だけで、自分用の小テストを作る
- 線を「自分の言葉の要約」に書き換える
アクション1:線を隠して先に思い出す
復習で参考書を開いたら、線の部分を赤シートや付箋で一度隠します。隠した状態で「ここに何が書いてあったか」を先に思い出し、そのあと線を見て答え合わせをする順番です。
線が見えたまま眺めると、答えが目に入った状態で「わかったつもり」になります。隠して思い出す一手間が、線を単なる目印から想起練習の起点へ変えます。
アクション2:線の箇所で小テストを作る
線を引いた箇所は、そのまま自己テストの問題になります。定義に引いた線なら「この用語を説明できるか」、因果に引いた線なら「なぜそうなったかを言えるか」を、自分に問いかけます。
問題形式にすると、線を引いた時点からどれだけ理解が進んだかが見えます。答えられなかった箇所だけを次の復習に回すと、限られた時間を弱点に集中させられます。
アクション3:線を自分の言葉の要約に変える
最後は、線を引いた内容を余白やノートに1〜2行で要約し直すアクションです。本文の言葉をそのまま写すのではなく、自分の言葉に置き換えるのが要点になります。
言い換える過程で、理解のあいまいな部分がはっきりします。この「精緻化」と呼ばれる作業まで進めたとき、線ははじめて記憶に残る形になります。
教科別の参考書活用ルール
参考書とアンダーラインの最適解は、教科によって変わります。同じ「線の引き方」でも、数学と社会では引く対象も時期も大きく異なります。引くのは「本文の太字」ではなく「自分が崩れた箇所」という原則は共通です。
| 教科 | 線を引く対象 | 引かなくてよいもの |
|---|---|---|
| 数学 | 自分が崩した解法ステップの分岐点 | 公式・例題そのもの |
| 英語 | 文構造を取り違えた一文 | 単語帳の見出し語 |
| 社会 | 事件と事件の因果関係(矢印部分) | 年号・人物名単体 |
| 理科 | 図やグラフで読み取りを誤った箇所 | 本文の太字部分 |
| 国語 | 設問のキーワードと解答プロセス | 本文の地の文 |
数学:解法の分岐点に印を入れる
数学で線を引く対象は、公式や例題そのものではなく、演習で詰まったり間違えたりした解法ステップの分岐点です。青チャートやFocus Goldを真っ赤に塗ると、結局どこが弱点か分からなくなります。
間違えた問題の解法を確認したとき、その「分かれ目になった一行」だけに赤線を入れます。公式は何度も使う中で覚えるものなので、線を引いても効果が薄いのです。
英語:文構造が崩れた一文に印を入れる
単語帳に蛍光ペンを引く人は多いのですが、単語帳の線は機能しにくいのが実情です。単語は何度も触れて覚えるもので、線は触れる回数を増やしてくれません。さらに、単語1語だけに線を引くと「なぜその語が重要か」という文脈が抜け落ち、和訳や記述で問われたときに引き出しにくくなります。
線を引くべきは、長文読解で自分が文構造を取り違えた一文です。SVOの判断ミス、関係代名詞の係り受けの誤読といったポイントに赤線を入れておくと、「どの構造で自分が崩れやすいか」が時系列で見えてきます。語彙の覚え方は英単語の覚え方で別途整理しています。
社会:因果関係の矢印に印を入れる
社会科目は参考書を真っ赤に塗りやすい教科の代表です。年号・事件名・人物名に線を引く人が多いのですが、結果を出す人は事件と事件の因果関係を示す部分に線を入れていました。
「Aが起きたためBが発生し、その結果Cにつながった」という流れの矢印部分に印を入れると、知識が点ではなく面で残ります。年号単体は赤シートで隠して暗記する素材なので、線を引いても効率は上がりにくいのです。
理科:図とグラフの読み取りミスに印を入れる
理科は、本文よりも図とグラフの読み取りが重要な教科です。本文に線を引く人より、図やグラフで自分が読み取りを間違えた箇所に印を入れた人のほうが、模試の点数が安定する傾向がありました。
模試で読み取りを誤った問題に対応する図を参考書で探し、その「見落とした要素」に赤いふせんを貼ります。本文の太字は出版社がすでに強調しているので、改めて線を引いても情報量はあまり増えません。
国語:設問のキーワードに印を入れる
国語では本文に線を引く人が多いのですが、本文の線より「設問のキーワードと自分の解答プロセス」のほうが再現性に効きます。
間違えた設問の余白に、自分が選んだ選択肢と正解の違いを赤で1行書き残す。厳密にはアンダーラインではなくメモですが、復習時に「自分はどの読み方をしたか」が時系列で見えるため、同じ崩れ方の再発を減らせます。
ペン・蛍光ペン・ふせんの使い分け早見表
道具の使い分けを早見表に整理します。道具の数を増やすほど結果が出るわけではなく、絞った道具を使い切れる人のほうが結果を出していました。
| 道具 | 主な用途 | 使う時期 | 避けたい使い方 |
|---|---|---|---|
| シャープペンシル | 初回・2回目通読の薄い印(○△?) | 4〜6月(基礎期) | 濃く書いて消せなくする |
| 青の蛍光ペン | 定義・公式・固有名詞の確認 | 3回目以降の通読時 | 初回からの大量塗り |
| 赤の蛍光ペン | 自分の弱点・誤読パターンの目印 | 問題演習・模試の後 | 講師の発言だけで引く |
| ふせん(四角) | 図・グラフの読み取りミス箇所 | 模試直後・過去問演習時 | 1ページに5枚以上貼る |
| ふせん(インデックス) | 復習で開きたい単元の目印 | 9月以降の総復習期 | 章ごとに全て貼る |
この表は「正解」ではなく「迷ったら参考に」というレベルの整理です。実際に伸びた人は、この表を踏まえて自分なりの調整を加えていました。
時期別マップ|参考書とアンダーラインの役割は変わる
同じ参考書でも、時期によって最適な使い方が変わります。夏以降に伸びる人の共通点は、時期別に付き合い方を切り替えていたことでした。
- 4〜6月(基礎期):線を引かずに地図を作る
- 7〜8月(演習期):鉛筆で弱点に印を入れる
- 9〜11月(過去問期):3回目の線を蛍光ペンで入れる
- 12〜2月(直前期):線を消してまっさらに戻す
4〜6月(基礎期):地図を作る
新学年が始まったこの時期は、参考書の全体像を把握するのが最優先です。各単元を1〜2回ずつ通読し、知らない用語と知っている用語を頭の中で仕分けます。4月に線を引かずに過ごせた人ほど、夏以降の伸び方が大きく違いました。
7〜8月(演習期):鉛筆で印を入れる
夏は演習が増え、弱点が具体的に見え始める時期です。シャープペンシルで薄く△や?を入れていきます。蛍光ペンはまだ早い段階です。夏に蛍光ペンを使い始めると、模試結果と線の位置が一致せず、秋に引き直す手間が生まれやすくなります。学習計画の組み方は赤本はいつから始めるべきかも参考にしてください。
9〜11月(過去問期):蛍光ペンの出番
過去問演習が本格化する秋に、ようやく蛍光ペンの出番です。過去問で落とした問題の根拠が書かれている部分にだけ赤線を入れます。過去問の弱点と参考書の線が一致している人は、直前期の総復習がスムーズに進みます。
12〜2月(直前期):線を消して戻す
直前期は、参考書を「もう一度初見で読めるか」のテストに使う時期です。4月に引いた古い線を消し、今の自分に本当に重要な箇所だけに引き直します。本が真っ白に戻る瞬間が、完成の証になります。
保護者ができる5つの声かけ
参考書とアンダーラインの問題は、家庭の声かけでも変わります。直接的な否定より、本人に考えさせる問いのほうが、結果として運用が整っていきました。
- 1冊買う前に1単元だけ試す:立ち読みかコピーで「読みやすいか」を本人に判断させてから購入する
- 「綺麗に使いなさい」を一度しまう:参考書は弱点を反映するほど機能する。自由に書き込んでよいと伝える
- 線の量で理解度を測らない:週末に1単元を5〜10分説明してもらい、説明できるかで評価する
- ペンの色数を増やさない:色は本人に決めさせ、「青はどんなとき使う?」と用途を聞く
- 他の子と比べない:比較対象を「先週の本人」に統一すると心理的負担が軽くなる
線の引き方そのものに口を出すと、本人のモチベーションは下がりやすいものです。代わりに「ここに線が引いてあるけれど、どういう意味で引いた?」と聞くだけで、本人がルールを言語化する機会になります。
よくある質問
参考書とアンダーラインについて、受験生と保護者から頻出した質問を整理します。
Q1:線を引かないと不安な子には、どう声をかければいいですか?
「線を引く代わりに、読んだ単元を3行で要約する」という代替行動を渡すのが有効です。手を動かしたい欲求は自然なので、線ではなく要約に振り向けると、不安が和らぎ、復習に使える材料も残ります。要約3行を1単元ごとにノートに残していた人の理解度は、線だけ引いていた人より明確に高い傾向がありました。
Q2:蛍光ペンと赤ボールペンは、どちらを使うべきですか?
結果との相関は強くありませんでした。重要なのは色の種類ではなく、引く対象を絞れているかです。蛍光ペンは目立つので「目印」、赤ボールペンは書き込めるので「短いメモ」と用途を分けると管理しやすくなります。結果を出す人の多くは、用途を分けつつ色は合計2〜3色に絞っていました。
Q3:すでに参考書を真っ赤にしてしまった場合、どうリカバリーしますか?
選択肢は3つあります。1つ目は、消せるペンなら点検しながら不要な線を消す。2つ目は、新しい1冊を買い直し、初回通読から線を引かない運用を試す。3つ目は、今の参考書はそのまま使い、新しい弱点だけ色違いのふせんで印を増やし、線とふせんで時系列を区別する。本人の負担と費用感に合わせて選んでください。
Q4:保護者として、子どもの線の引き方に口を出すべきですか?
線の引き方に直接口を出すと、本人のモチベーションが下がりやすいものです。代わりに、週末に1単元を5〜10分説明してもらう時間を取るのがおすすめです。「これはどういう意味で引いた?」と聞くだけで、本人がルールを言語化する機会になります。否定より、考えさせる質問のほうが運用が整います。
Q5:中学受験や高校受験でも、同じ考え方は使えますか?
使えますが、学齢が下がるほど「初回は線を引かない」のハードルは上がります。小学生・中学生のうちは、まず保護者と一緒に参考書を開き、1単元を読みながら△と?を一緒に付ける共同作業から始めるのが現実的です。高校生になると本人だけで運用できる人が増えますが、最初の1冊は家庭でルールを確認しておくと定着が早まります。
Q6:タブレットやPDFの場合、考え方は同じですか?
基本的に同じです。ただしタブレットは線が無限に引き直せる分、紙より「引きすぎ」が起きやすい傾向があります。紙と同じく初回通読では線を引かない原則を守りつつ、「線を引いた箇所だけのリスト」を自動表示できる機能を使い、月1回そのリストを見直すワークフローにすると整理しやすくなります。
Q7:線を引く時間が惜しい場合、省略していいですか?
省略できます。線を引くこと自体は目的ではなく、復習時に弱点を再発見するための道具です。直前期は線の代わりに、模試結果から弱点単元の番号をノートに書き出し、参考書を開くときにその番号から該当ページへ直行する運用に切り替えれば、線を引かなくても弱点復習が回ります。
まとめ|アンダーラインは順序を整える道具
参考書のアンダーラインは、「引けば伸びる」道具でも「引いたら駄目」な道具でもありません。引く順序・時期・対象を整えると、線がノイズではなく道具に変わります。
- 初日の線引きは判断材料がない・達成感を生む・想起を奪うという3点で機能しにくい
- 正しい順序は通読→鉛筆の薄い印→3回目に蛍光ペン→月1点検の5ステップ
- 色は2色まで、教科ごとに引く対象を「自分が崩れた箇所」へ絞る
- 時期で役割を切り替え、直前期は線を消してまっさらに戻す
- 保護者は線の量で評価せず、本人にルールを言語化させる問いで関わる
線を引くこと自体に意味があるのではなく、引いた線をどう使うかに意味があります。初回は通読、2回目は鉛筆、3回目に蛍光ペン——この順序を守れば、参考書はあなた専用の弱点マップになります。家庭学習の進め方そのものを整えたい場合は、映像授業と演習がセットになった教材の比較としてスタディサプリの評判も参考になります。
免責事項
※本記事は公開情報・公的データ・指導現場の整理に基づきます。学習方法の最適解は個人の特性・学齢・志望校により変わります。教材選びや学習計画の最終判断は、ご家庭の状況と本人の意向を踏まえてご判断ください。心身の不調が深刻な場合は、医師・カウンセラー等の専門家にご相談ください。

