「昨日あんなに時間をかけて覚えた英単語、もう半分も思い出せない……」
「授業中は完璧に理解したつもりだったのに、テストになると解けない……」
毎日必死に机に向かっているのに、知識が砂のように指の間からこぼれ落ちていく感覚。これほど辛いことはありませんよね。
でも、安心してください。それはあなたの頭が悪いからでも、努力が足りないからでもありません。
人間の脳の仕組み上、「忘れること」は正常な反応だからです。
しかし、難関大に合格する生徒や成績上位者は、この脳の「忘れる仕組み」を逆手に取って対策しています。それが、科学的根拠に基づいた「復習」です。
この記事では、受験勉強の常識である「エビングハウスの忘却曲線」を正しく理解し、あなたの脳を「穴の開いたバケツ」から「鉄壁の貯蔵庫」に変えるための具体的な復習スケジュールを伝授します。
衝撃の事実!人間は「1日」で7割以上を忘れる
心理学者ヘルマン・エビングハウスが行った有名な実験があります。
彼は無意味な音節(子音・母音・子音)を記憶し、時間経過とともに「どれくらい忘れてしまうか(再生率)」を調べました。
その結果が、以下の数値です。
エビングハウスの実験結果
- 20分後:42%を忘却
- 1時間後:56%を忘却
- 1日後:74%を忘却
- 1週間後:77%を忘却
- 1ヶ月後:79%を忘却
いかがでしょうか。たった1日経つだけで、苦労して覚えたことの74%が消え失せてしまうのです。
※もちろん、これは「無意味な音節」での実験結果なので、体系的な知識(歴史の流れや数学の理屈など)であれば、忘却はもう少し緩やかになります。
しかし、「復習しなければ大半を忘れる」という事実に変わりはありません。
「復習しない」=「穴の開いたバケツ」
この事実を知らずに、復習をおろそかにして新しい範囲ばかり進めるのは、底に穴の開いたバケツに必死で水を注いでいるようなものです。
いくら勉強時間を増やしても、水(知識)はどんどん漏れ出し、いつまで経ってもバケツ(脳)は満たされません。
非常に効率が悪く、精神的にも疲弊してしまう一番の原因がこれです。
記憶を定着させる「短期記憶」と「長期記憶」の仕組み
なぜ復習が必要なのでしょうか? それは脳の記憶システムに関係があります。
| 記憶の種類 | 特徴 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 短期記憶 | 一時的なメモ書き | 数分〜数日ですぐ消える |
| 長期記憶 | ハードディスクへの保存 | 半永久的に残る(受験に必要!) |
一度勉強しただけの情報は、脳の「海馬」という場所に一時保管され、すぐに廃棄(忘却)されます。
しかし、何度も繰り返し情報が入ってくると、脳は「これは何度も来るから、生きていく上で重要な情報に違いない!」と勘違いし、情報を長期記憶の倉庫へ移動させます。
つまり、復習とは脳に「これは重要だ!」と信じ込ませるためのプレゼンテーションなのです。
【保存版】脳に定着させる「黄金の復習スケジュール」
では、具体的に「いつ」復習すればいいのでしょうか。
エビングハウスの理論に基づいた、最も効率的なタイミングは以下の通りです。 1回目:翌日
記憶が激減する24時間以内に食い止める。ここで記憶を「100%」近くまで戻します。 2回目:1週間後
1回目の復習から1週間後。ここでもう一度刺激を与えることで、忘却カーブが緩やかになります。 3回目:2週間後
2回目の復習から2週間後。ここまでやれば、かなり長期記憶に近づいています。 4回目:1ヶ月後
ダメ押しです。これでその知識は、あなたの受験本番まで使える武器になります。
「復習は退屈な作業」と思うかもしれません。しかし、同じことを覚え直す時間は、初回に覚える時間の5分の1以下で済みます。
新しいことを学ぶ時間を少し削ってでも、このスケジュールを守る方が、最終的な「偏差値」は確実に上がります。
さらに効率アップ!「予習・授業・復習」の最強サイクル
復習だけでも効果は絶大ですが、さらに学習効果を高めるなら「予習」を取り入れましょう。
理想的な学習フロー
- 予習(全体像の把握)
わからない箇所があってもOK。「今日はこれをやるんだな」とイメージを作るだけで、授業の吸収率が変わります。 - 授業(理解)
予習でわからなかった部分を重点的に聞き、「なるほど!」と理解します。 - 復習(定着)
その日の夜、翌朝、週末…と繰り返して、知識を固定化します。
もし時間がなくて全ては無理だとしても、「復習」だけは絶対に死守してください。
予習は「理解を助けるもの」ですが、復習は「記憶に残すもの」だからです。
まとめ:復習を制する者が受験を制す
今回の記事の要点をまとめます。
- 人間は1日で74%を忘れる。「忘れる」のは脳の正常な機能。
- 復習しない勉強は「穴の開いたバケツ」への水汲みと同じ。
- 復習を繰り返すことで、脳が情報を「長期記憶」へ移動させる。
- 「翌日・1週間後・2週間後・1ヶ月後」のタイミングで復習するのがベスト。
「今日は新しいことをたくさんやった!」という満足感よりも、「昨日の内容をちゃんと覚えているか?」という確認に価値を置いてください。
地味で退屈な「復習」という作業をコツコツ積み上げた人だけが、入試本番で「あ、これ覚えてる!」という瞬間を迎えられます。
さあ、新しいページを開く前に、まずは昨日のノートを5分だけ見返してみましょう。
その5分が、未来の合格点を作ります。

