「国立の2次試験に英作文があるけれど、何から手をつけていいかわからない」「自分で英文を書くと、どうしても減点されてしまう」——こうした壁にぶつかる受験生は少なくありません。
マーク式の問題は解けるのに、英作文になった途端にペンが止まる。これはセンスの問題ではなく、書くための“やり方”を知らないだけであることがほとんどです。
この記事では、英作文を才能や感覚ではなく、「暗記」と「技術」で攻略する勉強法を整理します。鍵になるのは、ゼロから英文を発明するのではなく、覚えた例文を借りて書く“借文(しゃくぶん)”という考え方です。
英作文は自分で作らず覚えた例文を借りて書く借文が減点回避の近道。進め方は例文暗記→再現テスト→第三者添削の3段階。暗記は理解とそのまま暗記の2つが鉄則で、仕上げは添削で穴を埋めます。
この記事でわかること
- 英作文は自分で作らず、覚えた例文を借りて書く=“借文”が減点回避の近道
- 進め方は「例文暗記→再現テスト→第三者添削」の3段階
- 例文暗記は理屈の理解とそのまま暗記の2つが鉄則
- 仕上げは先生や模試の添削で“ネイティブ感覚”の穴を埋める
英作文の極意は“借文”|自分で作らず例文を借りて書く
英作文で安定して点を取る人がやっているのは、ゼロから英文を発明することではありません。頭の中にストックした正しい例文を引っ張り出し、単語を入れ替えて借りてくる作業です。
なぜ自作だと減点されるのか。理由はシンプルで、受験生の知識でオリジナルの英文を組むと、文法ミスや不自然な表現が混ざりやすいからです。プロが書いた“減点されない型”を覚え、それを使い回すほうが、はるかに安全で速く書けます。
この“借文”という発想に立てると、英作文の勉強は「英文を生み出す練習」から「正しい例文を蓄え、適切に取り出す練習」へと変わります。英作文は発明ではなく、暗記と再利用のゲーム。ここを最初に押さえておくことが、遠回りを避ける一番のポイントです。
具体的な進め方は、次の3段階に分けると迷いません。

- 例文暗記(インプット)で“弾”を込める
- 何も見ずに書く再現テスト(アウトプット)
- 独学の限界を超える第三者添削
ステップ1:例文暗記(インプット)で“弾”を込める
英作文が書けない最大の理由は、書くためのネタ=例文を持っていないことです。手持ちの弾がなければ、当然どんな問題にも撃ち返せません。まずは基本となる例文を頭に入れる作業から始めます。
借文の発想では、この例文ストックがそのまま得点力になります。良質な例文を100個ほど身につけるだけで、入試の標準的な和文英訳はかなりの範囲をカバーできるようになります。
おすすめの「例文インプット用」参考書
例文暗記の土台には、解説が丁寧で取り組みやすい定番の参考書が向いています。以下はいずれも英作文の良書として知られるものです。自分が続けやすいと感じる1冊を選んで集中的にやり込みましょう。
| 参考書 | 著者 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| ドラゴン・イングリッシュ基本英文100 | 竹岡広信 | 厳選100文を軸に暗記する |
| 竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本 | 竹岡広信 | 考え方から丁寧に理解する |
| 大学入試英作文ハイパートレーニング和文英訳編 | 大矢復 | 和文英訳の型を身につける |
| 大矢復 英作文講義の実況中継 | 大矢復 | 講義形式で理屈を押さえる |
複数冊に手を広げる必要はありません。1冊を完璧にするほうが、力は確実に積み上がります。参考書選び全般のコツは参考書の選び方もあわせてご確認ください。
暗記するときの2つの鉄則
参考書を決めたら、ただ眺めて覚えるのではなく、次の2つの鉄則を守って進めてください。やり方を外すと、覚えた例文がすぐ崩れます。
- 「なぜその語順になるのか」を理解してから覚える
- アレンジせず、まずは「そのまま」覚える
1つ目は、丸暗記の前に文法的な理屈を押さえることです。S+V+O+Cなどの構造を理解したうえで覚えれば、記憶が崩れにくくなります。文法があやふやなまま暗記しても、土台がぐらついてすぐ忘れてしまうものです。文法が不安なら、まず文法の参考書に戻りましょう。
2つ目は、最初の段階で例文を一字一句そのまま覚えることです。「ここは別の単語でもいいかな」と考え始めると、自己流のアレンジがミスの温床になります。型が身につくまでは、素直に真似るのが一番の近道です。
英単語そのものの覚え方に不安が残る場合は、英単語の覚え方もあわせて整えておくと、例文暗記がぐっと楽になります。
ステップ2:何も見ずに書く「再現テスト(アウトプット)」
例文を覚えたつもりになったら、次は何も見ずに書けるかを試す段階です。借文は「取り出せて初めて武器になる」ため、ここを飛ばすと得点に結びつきません。日本語を見て瞬時に英語が出てくるレベルまで仕上げます。
進め方は、次の3つを順番に回すのが基本です。

| 手順 | やること | 合格ライン |
|---|---|---|
| 再現テスト | 日本語訳だけを見て英文をノートに書く | スペルミス1つでもあれば不正解 |
| セルフティーチング | 書いた英文を自分で文法解説する | 「なぜこの形か」を説明できる |
| 類題演習 | 問題集で覚えた例文を応用する | 単語の入れ替えだけで解ける |
まず再現テストでは、参考書の日本語訳だけを見て英文を書き起こします。スペルミスが1つでもあれば不正解としてやり直す——この厳しさが、本番で使える精度をつくります。
次にセルフティーチングです。書いた英文に対して「ここは過去完了形、なぜなら〜」と自分で解説できれば合格とみなします。説明できない箇所は、まだ理解しきれていない箇所です。
最後に類題演習へ進みます。例文が完璧になってから問題集の練習問題を解くと、覚えた例文の単語を入れ替えるだけで解けることに気づくはずです。借文が機能している証拠です。
そして、間違えた問題にはそのつどチェックを入れること。翌日・3日後・1週間後と間隔を空けて復習すれば、記憶が長期的に定着していきます。
ステップ3:独学の限界を超える「第三者添削」
英作文対策の仕上げで欠かせないのが、第三者による添削(フィードバック)です。借文の型が身についても、その英文が本当に自然かどうかは、自分では判断しきれないからです。
数学と違い、英作文には正解が無数にあります。問題集の模範解答と違っても正解の場合がありますし、文法的には合っていても「ネイティブはそう言わない」という不自然さが残る場合もあります。この微妙なニュアンスを見抜けるのは、英語のプロだけです。
自分の答案を「採点官」に見せる
添削を頼める相手は、身近なところに複数あります。それぞれ得意分野が違うため、目的に合わせて使い分けると効果的です。
| 添削の依頼先 | メリット |
|---|---|
| 学校・塾の先生 | 手軽に頼める。弱点を継続的に見てもらえる |
| 記述模試 | 客観的なスコアが出る。本番で通用するかを判定できる |
「恥ずかしいから」と添削を避けてしまうと、冠詞の抜けや時制のズレといった自分では気づけないミスを、本番まで引きずることになります。
模試や添削で真っ赤になって返ってきた答案こそ、自分専用の弱点リストです。返ってきた指摘どおりに書き直す(リライト)——この一手間が、次の答案の質を確実に押し上げます。
英語全体の進め方のなかで添削をどこに置くかは、受験英語の勉強法と偏差値帯別ルートで整理しています。あわせて確認しておくと、学習計画に組み込みやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1:例文は何個くらい覚えれば十分ですか?
まずは良質な基本例文を100個を目安にしてください。市販の英作文参考書の多くが100文前後で構成されているのは、入試の標準的な和文英訳がこの範囲でおおむねカバーできるからです。やみくもに数を増やすより、選び抜かれた100文を何も見ずに再現できる状態を優先しましょう。
Q2:英作文の対策はいつから始めればいいですか?
英単語と文法の基礎が固まった段階が目安です。土台が不安定なまま例文暗記に入っても崩れやすいため、まず文法を一通り整えるのが先決です。2次試験で英作文が必要な人ほど、過去問演習に入る前の時期から少しずつ例文を貯めておくと、後半の負担が軽くなります。過去問を始める時期の考え方は赤本を始めるタイミングも参考になります。
Q3:自由英作文も“借文”で対応できますか?
対応できます。自由英作文も、ゼロから発想するのではなく、覚えた型(意見→理由→具体例→結論)と例文を組み合わせて作るのが基本です。和文英訳で蓄えた例文ストックがそのまま使えるため、まずは和文英訳の借文を固めてから自由英作文へ広げる順番が無理がありません。
まとめ:英作文は“準備”で差がつく
英作文は、本番の発想力ではなく、事前にどれだけ正しい例文を蓄え、取り出せる状態にしておいたかで点数が決まります。要点を振り返ります。
- 借文の発想:ゼロから作らず、覚えた例文を借りて書く。
- 例文暗記:良質な100文を、理屈の理解とともにそのまま覚える。
- 再現テスト:日本語を見て何も見ずに書けるまで仕上げる。
- 第三者添削:先生や模試の指摘どおりに書き直して穴を埋める。
英語が書けるということは、英語の構造を理解している証明でもあります。英作文の対策を進めると、結果的に長文読解や文法問題のスコアも底上げされていきます。
まずは手始めに、基本の100例文を覚えるところから始めてみてください。その100個の弾が、入試本番であなたのペンを走らせてくれるはずです。英語の総合的な進め方は受験英語の勉強法、参考書選びは参考書の選び方もあわせてご確認ください。

