共通テスト利用入試とは|私大の単独型・併用型の違いとボーダー・併願戦略をやさしく解説

私立大学を受けるなら、共通テスト利用入試は併願の幅を大きく広げる手段です。共通テストを1回受けるだけで、複数の私大に出願できる仕組みだからです。

ただし「得点が高ければ受かる」とは限りません。定員が少なくボーダーが上がりやすい方式で、しかも多くの大学が共通テストの前に出願を締め切ります。仕組みを知らずに出願すると、滑り止めのつもりが取りこぼしになることもあります。

この記事では、共通テスト利用入試の仕組みを、単独型と併用型の違い・メリットとデメリット・ボーダーの読み方・併願戦略まで整理します。試験そのものの中身ではなく、その得点を私大の合否に「使う」入試方式に絞って解説します。

この記事でわかること

  • 共通テスト利用入試は、共テの得点で私大の合否が決まる方式。大学独自の試験を受けずに出願できる
  • 単独型(共テだけ)と併用型(共テ+個別)の2タイプがある
  • 1回の共テで複数大学に出願でき、受験料や移動が節約できるのが最大の利点
  • 定員が少なくボーダーが上がりやすい。科目数・配点が大学ごとに違う点に注意
  • 多くは共テ前に出願締切。自己採点を見てから出願先を変えられないケースがある

なお、共通テストの試験そのものの仕組みは共通テストとは何かをまとめた記事で、ほかの入試方式との位置づけは大学入試の方式比較の記事で解説しています。この記事は共通テスト「利用入試」の仕組みと使い方に絞ります。

結論を先に書きます

共通テスト利用入試は、共通テストの得点だけ(または個別試験と組み合わせて)で私大の合否が決まる方式です。一般入試のように大学ごとの試験会場へ行かなくても、共テを1回受ければ複数大学に出願できます。

ただし便利なぶん人気が集まり、ボーダーは一般入試より高くなりがちです。使いどころは「実力より少し下の大学を、移動なしで効率よく押さえる滑り止め」。本命は一般入試で受ける、という併用が王道になります。

ここがポイント

共通テスト利用入試は「合格を取りに行く本命の入試」ではなく「効率よく滑り止めを確保する入試」と位置づけると使いやすくなります。共テの自己採点が想定より低くても困らないよう、一般入試の準備は並行して進めておきましょう。

大学・学部・科目型によってボーダーや必要科目は大きく変わります。本記事のボーダーや倍率は一般的な目安であり、最終的な出願判断は各大学の最新の募集要項で確認してください。

目次

共通テスト利用入試とは|共テの得点で私大の合否が決まる方式

共通テスト利用入試とは、大学入学共通テストの得点を使って私立大学の合否を判定する入試方式です。多くの私大が、一般入試とは別の枠としてこの方式を用意しています。

最大の特徴は、大学独自の個別試験を受けずに出願できる 点です。共通テストさえ受けていれば、あとは出願手続きをするだけ。大学ごとの試験会場へ何度も足を運ぶ必要がありません。

一般入試との違いを整理する

一般入試は「大学ごとの個別試験」で合否が決まります。一方、共通テスト利用入試は「共通テストの得点」が判定の中心です。同じ大学でも、両方の枠に出願できるケースが多くあります。

観点共通テスト利用入試一般入試(個別試験型)
判定に使う試験共通テストの得点(+個別の場合あり)大学独自の個別試験
試験会場共テ会場のみ(個別試験なしが多い)大学ごとの試験会場へ行く
1回の試験で出せる大学数複数大学に出願できる原則1大学ごと
出願時期共テ前が多い(事後出願もあり)共テ後(1〜2月)が多い
ボーダーの傾向高くなりやすい大学・学部により幅広い

共通テスト利用入試は「1回の共テで複数大学に出せる」点で、併願の効率が圧倒的に高い方式です。ただしその効率の良さが人気を集め、ボーダーが上がるという裏返しもあります。

単独型と併用型の違い|2つのタイプを使い分ける

共通テスト利用入試には、大きく分けて単独型と併用型の2タイプがあります。先に結論を言うと、単独型は共テだけ・併用型は共テ+大学独自試験です。

どちらを使うかで、必要な準備も合格しやすさも変わります。志望校がどちらの方式を採用しているかは、募集要項で確認しておきましょう。

単独型・併用型の比較

タイプ判定方法個別試験向いている人
単独型(共テ利用型)共通テストの得点のみで判定なし共テで安定して得点できる人・効率重視
併用型(共テ+個別)共テの得点+大学独自試験の合計あり(学科・小論文など)共テが目標にやや届かず個別で挽回したい人

単独型は、共通テストの得点だけで合否が決まります。個別試験がないぶん、共テの結果がそのまま結果になります。手間は少ない反面、共テ一発勝負になりやすいタイプです。

併用型は、共テの得点に大学独自の試験(学科試験や小論文など)を足して判定します。手間は増えますが、共テで少し失敗しても個別試験で取り返せる余地があります。

併用型は倍率が下がりやすい

併用型は「個別試験のために大学へ行く」手間があるぶん、出願者が単独型より絞られる傾向があります。結果としてボーダーや実質倍率が単独型より落ち着くことも多く、共テが目標に少し届かない人にはむしろ狙い目になる場合があります。

共通テスト利用入試のメリット|併願効率とコストの良さ

共通テスト利用入試の最大の価値は、併願の効率とコストの良さです。共テを1回受けるだけで、複数の私大に出願できます。

特に地方から都市部の大学を受ける人にとって、移動と宿泊の負担が大きく減るのは見逃せない利点です。

主なメリット

  • 1回の共テで複数大学に出願できる:同じ得点を複数大学の判定に使え、併願の幅が一気に広がる
  • 個別試験のために移動しなくてよい:単独型なら大学の試験会場へ行かずに済み、体力・時間を本命対策に回せる
  • 地方から都市部の大学を狙いやすい:宿泊や交通費をかけずに都市部の私大に出願できる
  • 受験料が個別試験型より安い傾向:1出願あたりの検定料が一般入試より低めに設定される大学が多い
  • 滑り止めを早めに確保しやすい:合格が早く出れば、本命の一般入試に安心して臨める

受験料は大学によりますが、共テ利用の出願は1万5,000円前後が目安です。同じ大学を複数学部・複数科目型で出願すると割引になるケースもあり、まとめて出すほどコスト効率が上がります。

本命の時間を守れるのが本質的な価値

メリットを一言でまとめると、滑り止めを少ない手間で押さえ、本命対策の時間を守れる ことです。個別試験の移動で消耗せずに済むぶん、第一志望の勉強に集中できます。

共通テスト利用入試のデメリット|ボーダーの高さと一発勝負

便利な方式ですが、弱点もはっきりしています。中心になるのは、ボーダーが高くなりやすい・難関化しやすい・科目数や配点が大学で違う・共テ一発勝負 という4点です。

ここを理解せずに「滑り止め」と思って出願すると、思ったより合格が出ずに焦ることになります。デメリットは中立に押さえておきましょう。

主なデメリットと注意点

デメリットなぜ起きるか対策の方向
ボーダーが高くなりやすい定員が少なく人気が集中する実力より一段下の大学を選ぶ
難関大ほど高得点が必要上位層が滑り止めに使う8〜9割が必要な大学は本命扱いしない
科目数・配点が大学で違う大学ごとに方式設計が異なる募集要項で必要科目と配点を確認
共テ一発勝負になりやすい単独型は挽回の場がない併用型や一般入試と組み合わせる

ボーダーが高くなる最大の理由は、定員の少なさです。共テ利用の枠は一般入試より募集人数が少ないことが多く、そこに人気が集中するため得点ラインが押し上げられます。

「志願倍率」と「実質倍率」は別物

倍率の見方にも注意が必要です。共テ利用は出願のハードルが低いぶん志願者が膨らみ、志願倍率が数十倍に見えることがあります。

ただし、上位層は複数大学に同時出願しているため、合格者を出せば多くが入学を辞退します。実際に競う相手の数(実質倍率)は、見た目の志願倍率よりずっと小さい のが普通です。志願倍率の数字だけで「無理だ」と諦める必要はありません。

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ボーダーの読み方と配点の最適化|得意科目が活きる大学を選ぶ

共通テスト利用入試では、ボーダー(合格目安の得点率)の読み方と、配点の使い方が合否を分けます。結論は、得点率の数字だけでなく「自分の得意科目の配点が大きい方式」を選ぶ ことです。

これは多くの解説で抜けがちな実務ポイントです。同じ得点率でも、配点設計しだいで自分の有利・不利が変わります。

ボーダーは「目安」として帯で見る

ボーダーは「この得点率なら合格可能性がおよそ半分」というラインです。大学や学部によって幅広く、得点率の目安はおおむね次のように分布します。

大学帯(目安)共テ利用のボーダー目安(得点率)
難関私大の人気学部85〜90%以上
中堅〜上位私大70〜85%程度
中堅私大・科目数の多い方式60〜75%程度

同じ大学でも、3科目型より5科目型のほうがボーダー(得点率)が下がる傾向があります。科目数が増えると出願者が絞られるためです。「得点率は高く見えても、科目数を増やすと届く」という逆転が起こり得ます。

配点の最適化|得意科目の配点が大きい方式を探す

見落とされがちなのが配点です。共テ利用では、大学・方式によって科目ごとの配点比率が違います。同じ100点満点でも、英語を重く見る方式もあれば、均等配点の方式もあります。

たとえば英語が得意なら、英語の配点が大きい方式を選ぶだけで、総合得点が伸びやすくなります。ボーダーの数字を見る前に、自分の得意科目が活きる配点かを確認する のが、合格率を上げる近道です。

配点チェックの手順

志望校の募集要項で「各科目の配点」を確認し、自分の得意科目の配点が大きい方式を優先します。3科目型と5科目型の両方がある場合は、苦手科目を含めても総合点が高くなるほうを選ぶと有利です。判定は得点率だけでなく「換算後の総合点」で考えましょう。

なお、共通テストでどの程度の得点率を目指すべきかの全体像は共通テストの得点率の目安をまとめた記事で確認できます。

出願時期の注意|多くは共テ前に締切・自己採点で変えられない

共通テスト利用入試でとくに事故が起きやすいのが、出願時期です。ポイントは、多くの大学が共通テストの前に出願を締め切る こと。自己採点を見てから出願先を変えられないケースがあります。

ここを知らずに「共テが終わってから出願先を決めよう」と考えていると、出願自体に間に合いません。

事前出願型と事後出願型の違い

出願のタイミング特徴
事前出願型共通テストの前に締切大学数が多い。自己採点前に出願先を決める必要がある
事後出願型共通テストの後に締切自己採点を見て出願先を選べる。数は少なめ

事前出願型では、共通テストを受ける前に出願を済ませます。つまり、自分の出来を知らないまま出願先を決めることになります。手応えが悪くても出願済みなら受験料は戻りません。

事後出願型は、自己採点の結果を見てから出願できる安心感があります。ただし実施大学は限られるため、これだけに頼ると併願の幅が狭くなります。

事前出願は「自己採点ギャップ」に備える

事前出願型のリスクは、想定と本番の得点がずれることです。模試では届いていた大学に、本番では届かないこともあります。

対策はシンプルで、事前出願は「やや安全圏」を厚めに、本命は一般入試で という配分にすること。事前出願の段階で攻めすぎず、確実に押さえられる大学を中心に出すと、自己採点ギャップに振り回されにくくなります。

何科目型の選び方と併願戦略|共テ利用で滑り止め・一般で本命

最後に、科目型の選び方と、一般入試との組み合わせ方を整理します。基本方針は、共テ利用で滑り止めを固め、一般入試で本命を取りに行く という役割分担です。

科目型は「3科目型」「5科目型」などがあり、どれを選ぶかで負担と合格しやすさが変わります。

何科目型を選ぶかの考え方

  • 3科目型:私大文系の標準。負担は軽いが人気が集中しボーダーが高めになりやすい
  • 4〜5科目型:国公立併願者向け。準備科目は増えるが出願者が絞られ、ボーダーが下がる傾向
  • 選び方の軸:国公立も受けるなら多科目型が有利。私大専願なら3科目型で得意科目の配点重視

国公立志望者は、もともと多くの科目を勉強しています。その科目をそのまま共テ利用の多科目型に流用でき、ボーダーが下がる方式を狙えるため相性が良い方式です。

共テ利用と一般入試の併願プラン例

役割使う入試大学の選び方
安全校(滑り止め)共テ利用(事前出願)実力より1〜2段下。確実に届く得点率の大学
実力相応校共テ利用+一般入試ボーダー前後。共テと個別の両方で受ける
本命・チャレンジ校一般入試(個別試験)第一志望。個別試験でしっかり対策する

このように役割を分けると、共テ利用で早めに合格を確保しつつ、本命は一般入試で全力を出せます。共テ利用だけ・一般だけに偏らず、両方を組み合わせるのが取りこぼしを防ぐ王道です。

共テ利用は出願時期が早いぶん、共通テスト対策を秋までに仕上げておくと有利になります。基礎から短時間で固め直したい人は、映像授業で要点を絞る方法も選択肢になります。

共テ利用は共通テスト本番での得点率がそのまま結果に直結します。苦手科目の底上げや過去問演習を効率よく進めたい人は、映像授業で要点を絞る方法も検討できます。

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まとめ|共通テスト利用入試で押さえる5点

共通テスト利用入試のポイントを最後に整理します。

この記事のまとめ

  • 共テ利用入試は、共テの得点で私大の合否が決まる方式。単独型(共テだけ)と併用型(共テ+個別)がある
  • 1回の共テで複数大学に出願でき、移動も受験料も節約できるのが最大の利点
  • 定員が少なくボーダーは高め。志願倍率の数字より実質倍率で考える
  • 得点率だけでなく、得意科目の配点が大きい方式を選ぶと有利になる
  • 多くは共テ前に出願締切。事前出願はやや安全圏を厚めに、本命は一般入試で取りに行く

共通テスト利用入試は、使い方を間違えなければ併願を強力に支える方式です。「効率よく滑り止めを押さえる入試」と割り切り、本命は一般入試で取りに行く。この役割分担を守れば、共テの得点を最大限に活かせます。

ほかの入試方式との位置づけは大学入試の方式比較の記事で、共通テストの得点目標は共通テストの得点率の目安の記事で確認できます。共テ対策の進め方に迷う人はスタディサプリの評判をまとめた記事も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

共通テスト利用入試は何校くらい出願すべきですか?

明確な正解はありませんが、安全校2〜3校・実力相応校1〜2校を共テ利用で押さえ、本命は一般入試で受けるのが一般的な配分です。同じ大学を複数学部・複数科目型で出すと割引になる大学もあるため、まとめて出すと効率が上がります。出願料の総額と合格確保のバランスで決めましょう。

単独型と併用型はどちらが受かりやすいですか?

一概には言えませんが、併用型は個別試験のために大学へ行く手間があるぶん出願者が絞られ、ボーダーや実質倍率が落ち着く傾向があります。共テが目標に少し届かない場合は、個別試験で挽回できる併用型のほうが狙い目になることがあります。共テで安定して高得点が取れるなら、手間の少ない単独型が効率的です。

共通テスト利用入試のボーダーはどのくらいですか?

大学・学部・科目型によって大きく異なり、得点率6割程度から9割超まで幅があります。難関私大の人気学部では85〜90%以上、中堅〜上位私大で70〜85%程度が目安です。同じ大学でも科目数を増やすとボーダー(得点率)が下がる傾向があるため、3科目型と5科目型の両方を比較すると届きやすくなる場合があります。最新の数値は各大学の募集要項や予備校の公開データで確認してください。

第一志望が私立でも共通テストは受けるべきですか?

共通テスト利用入試を使うなら受ける必要があります。私大専願でも、共テ利用で滑り止めを効率よく確保できるため、受けておく価値は大きいです。共テを受けないと共テ利用入試には出願できず、併願は一般入試のみになります。受験料や対策の負担と、併願の幅の広がりを比べて判断しましょう。

出願はいつまでにすればいいですか?

多くの大学が共通テストの前に出願を締め切る「事前出願型」です。共テが終わってから出願先を決めようとすると間に合わないことがあります。自己採点を見てから出願したい場合は「事後出願型」を実施する大学を選びますが、数は限られます。事前出願型は自己採点を待たずに出願先を決めるため、やや安全圏の大学を厚めに出しておくと安心です。

志願倍率が数十倍でしたが、出願しても無理でしょうか?

志願倍率の数字だけで諦める必要はありません。共テ利用は出願のハードルが低く志願者が膨らむため、見た目の志願倍率は大きくなります。ただし上位層は複数大学に同時出願しており、合格者の多くが入学を辞退します。実際に競う相手の数(実質倍率)は志願倍率よりずっと小さいのが普通です。自分の得点率がボーダー目安に届いていれば、出願する価値はあります。

本記事は公開情報をもとにした入試方式の整理です。ボーダーライン・出願時期・必要科目・配点・受験料などは大学および年度により異なり、変更される場合があります。出願にあたっては、各大学が公開する最新の募集要項・入試要項をご確認ください。

参考: 各私立大学 入試要項・募集要項/大学入試センター(大学入学共通テスト)/大手予備校の共通テスト利用入試ボーダー公開データ

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この記事を書いた人

大学在学中から学習指導に携わり、卒業後は大手進学塾で約8年勤務。小学生から高校生まで幅広く担当し、特に数学・英語を中心に受験対策や定期テスト対策を行ってきた。これまでに指導した生徒は延べ500名以上。志望校合格率の高さと、生徒のやる気を引き出す指導スタイルに定評がある。

得意分野:
・中学・高校受験対策(数学・英語)
・定期テスト点数アップ指導
・勉強習慣の定着サポート
・生徒のモチベーションアップ指導

勉強は“やらされるもの”ではなく、“自分の未来をつくるための武器”です。生徒一人ひとりの性格や目標に合わせて、わかりやすく、楽しく、そして結果につながる指導を心がけています。一緒に目標達成を目指しましょう!

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