「単語や文法は分かるのに、リスニングになると急に聞き取れなくなる」。そんな声を、受験生からよく聞きます。
現在の共通テストで、英語リスニングは「おまけ」ではありません。リーディングと同じ100点満点が割り振られ、合否を左右する主戦場のひとつになっています。
リスニングはセンスだと思われがちですが、それは誤解です。聞き取れないのには明確な理由があり、解消するための手順と教材も用意されています。この記事では、リスニングを「単語の音」と「短文の構造」の2フェーズに分けた攻略法と、レベル別のおすすめ参考書を整理します。
この記事でわかること
- リスニングを2フェーズ(単語の音→短文の構造)で鍛える基本ルート
- 聞き取れない原因を解消するシャドーイングの正しい手順
- フェーズ別・レベル別のおすすめ参考書と向いている人
- 共通テストで8割を目指すための演習教材と直前期の使い方
結論を先に書きます
リスニングは、「自分が発音できない音は聞き取りにくい」という前提を踏まえ、単語の音を固めてから短文・長文の構造へと段階的に進めるのが近道です。いきなり長文を聞き流しても、処理が追いつかず消化不良になりやすくなります。
効果が出やすい定番の練習がシャドーイングです。毎日15分でも、同じ英文を繰り返すことで、英語の音とリズムが少しずつ身についていきます。
- リスニングは単語の音→短文の構造の2フェーズで積むと崩れにくい
- 聞き取りの土台は音声つき単語帳。スペルと意味だけでは得点に届きにくい
- シャドーイングを毎日続けると、音声変化やリズムが定着しやすい
- 共通テストは1回読みの問題に慣れが必要。予想問題でメモの取り方を固める
リスニング攻略は「2つのフェーズ」で進める
リスニング力は、階段を上るように2段階で鍛えるのが効率的です。まず単語の音を固め、その後で文の構造を瞬時につかむ訓練に移ります。いきなり長文から入ると、脳が処理しきれずに止まりやすくなります。
下の2フェーズを、上から順に積み上げるのが王道のルートです。
- フェーズ1:英単語の「正しい音」を脳に刻む
- フェーズ2:英短文の「構造」を瞬時につかむ
フェーズ1:英単語の「正しい音」を脳に刻む
大前提として、自分が発音できない音は聞き取りにくいという傾向があります。スペルと意味だけを覚えても、その単語が実際に「どう発音されるか(音声変化を含む)」を知らなければ、リスニングの得点には届きにくくなります。
まずは手持ちの英単語帳を、音声と一緒に仕上げることからスタートします。単語の音の定着が、リスニングの土台になります。
フェーズ2:英短文の「構造」を瞬時につかむ
単語の音が取れるようになったら、次は意味の塊(チャンク)ごとに理解する訓練に進みます。共通テストや私立・国立の2次試験では、会話の文脈や論理の流れを追う力が問われます。
短い文章を確実に処理できるリスニングの基礎体力を、この段階で作っていきます。
リスニング力を伸ばす練習法「シャドーイング」
リスニングを伸ばす定番の練習がシャドーイングです。聞こえてくる音声のすぐ後を、影(シャドー)のように追いかけて発音する方法を指します。
イメージは、小学校で歌った「かえるの合唱」の輪唱に近いものです。1テンポ遅れて聞こえる感覚を、自分の口で再現します。シャドーイングには次のような効果と進め方のコツがあります。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 効果 | 英語特有のリズム・強弱・音声変化(連結や脱落)が身につきやすい |
| 最初のコツ | スクリプト(台本)を見ながらでもOK。音と文字を結びつける |
| 慣れた後 | 何も見ず、音声だけを頼りに追いかける |
1〜2回では効果を実感しにくい練習です。毎日15分、同じ英文を繰り返すことで、ある日ふと英語がゆっくり聞こえるようになる瞬間が訪れます。短い音源を選び、続けやすい形にするのがポイントです。
単語の音をどう覚えるかでつまずいている人は、暗記の手順を整理した記事もあわせて読んでみてください。
英単語の音と意味がなかなか定着しないという人は、英単語の覚え方を整理した記事や英単語暗記の3つのコツもあわせて確認すると、リスニングの土台を底上げできます。
【フェーズ1】単語・熟語を聞き取るおすすめ参考書
リスニングの基礎となる語彙の音を鍛えるには、音声機能が充実した単語帳が向いています。手持ちの一冊で十分なケースも多いので、新たに増やす前に音声の有無を確認してください。
定番の4冊を、特徴と向いている人で整理します。
| 参考書名 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| DUO 3.0 | 約560の例文に重要語を凝縮。文脈で覚える | 効率重視・中級者以上 |
| システム英単語 | ミニマルフレーズで短いフレーズごと音で覚える | 全受験生・基礎固め |
| 速読英単語 | 長文の中で単語を覚え、読解力も同時に伸ばす | 文脈重視派・2次対策 |
| キクタン | リズムに乗って「聞く」中心で覚える設計 | リスニングが苦手な人 |
DUO 3.0|例文の音で覚える
DUOは約200語程度の英文に重要語句が詰まっており、別売の音声を併用すると、リスニングと発音を同時に鍛えられます。文脈つきで音を覚えられる点が強みです。
システム英単語|ミニマルフレーズと相性が良い
システム英単語(シス単)のミニマルフレーズは、数語の塊で覚える形式で、リスニングと相性が良い構成です。レベル別に分かれているため、志望校に合わせて段階的に進められます。
速読英単語(必修編・上級編)|長文の中で音を学ぶ
速読英単語は、その名の通り長めの文章の中で単語を覚える構成です。「どんな文脈で使われるか」を音声と一緒に学べるため、長文リスニングの基礎体力がつきやすくなります。
キクタンシリーズ|聞いて覚える
キクタンは「聞いて覚える」を中心に据えた単語帳です。リズムに合わせて単語が流れるため、移動中など机に向かえない時間でもリスニング対策に充てられます。
【フェーズ2】英短文・長文を聞き取る実戦参考書
単語の音がつかめてきたら、次は試験形式に近い問題でトレーニングします。解法そのものを言語化してくれる教材を選ぶと、独学でも進めやすくなります。
代表的な2系統を整理します。
大学入試リスニングのトレーニング(入門・必修・上級)
Z会から出ているこのシリーズは、リスニングの解法が細かく言語化されている点で定評があります。3部作になっており、自分の現状に合わせてスタートできます。
- 入門編:短い文章からリスニングのルールを学ぶ
- 必修編:共通テスト〜標準的な私立・国立レベル
- 上級編:難関大2次・英語系学部のハイレベル対策
レベルを飛ばさず、今の自分に合う1冊から始めるのが定着への近道です。
[共通テスト]石井雅勇 リスニング講義の実況中継
有名講師による話し言葉の解説で、「どうメモを取るか」「どこに注意して聞くか」というテクニック面を学べる一冊です。リスニングの戦略を立てたい受験生に向いています。
【共通テスト対策】8割を目指す演習教材
共通テストのリスニングは、1回読みの問題が増えるなど特有の難しさがあります。これには「慣れ」が必要で、本番形式の演習を重ねることが得点の安定につながります。
直前期に向けて押さえておきたい教材を整理します。
- 短期攻略 共通テスト英語 リスニング:駿台講師陣によるテクニック重視の問題集。短期間でコツをつかみたい人向け
- 共通テスト予想問題パック:河合塾・駿台・Z会などが出す予想問題。本番直前のシミュレーションに有効
共通テストのリスニングは、毎年のように細かな調整が入ります。最新年度の傾向を反映した予想問題や過去問(追試含む)を解き、メモの取り方を固めておくのがおすすめです。8割を目指すうえで、形式への慣れは大きな武器になります。
最難関・東大レベルを目指すなら
難関大特有の長いリスニングに対応したい人向けに、ハイレベルな一冊を紹介します。ただし全員に必須ではありません。志望校の出題形式に合わせて、取り入れるか判断してください。
灘高キムタツの東大英語リスニング
東大をはじめとする最難関大を狙うなら、検討したい一冊です。5分以上の長い放送を、論理的に内容を整理しながら処理するスキルが身につきやすい構成になっています。
難関大を志望する段階での仕上げ教材として位置づけるのが現実的です。志望校がそのレベルでなければ、必修編までを丁寧に固めるほうが得点につながります。
英語全体の優先順位や、偏差値帯ごとの進め方をさらに詳しく知りたい人は、勉強法と参考書ルートの記事もあわせて確認すると全体像がつかめます。
英語を体系的に押さえたい人は、受験英語の勉強法を整理した記事を、参考書の組み立て全般は英語参考書ルートの記事もあわせてどうぞ。
よくある質問
リスニング対策でよく聞かれる質問を整理します。
Q1:リスニングはいつから始めればいいですか?
できるだけ早い段階から、少しずつ触れておくのがおすすめです。リスニングは直前に詰め込んでも伸びにくく、毎日15分でも継続したほうが効果が出やすい分野です。単語の音を固める作業はリーディングの語彙学習と兼ねられるため、早めに音声つきの学習へ切り替えると無理がありません。
Q2:聞き流すだけでも効果はありますか?
聞き流しだけでは伸びにくい傾向があります。意味を理解しないまま流すと、ただのBGMになりやすいためです。シャドーイングのように、音を口で再現したり、スクリプトで意味を確認したりする能動的な練習を組み合わせるほうが、得点につながりやすくなります。
Q3:参考書は何冊くらい必要ですか?
単語帳1冊と実戦用の問題集1〜2冊が目安です。土台となる音声つき単語帳をやり込み、形式に慣れる問題集を1冊仕上げる形が現実的です。冊数を増やすより、決めた一冊を反復するほうが定着します。
Q4:共通テストで8割を取るには何をすればいいですか?
単語の音の定着・シャドーイング・予想問題での形式慣れの3つを積み重ねるのが基本です。8割を目指すには、聞き取りの土台に加えて、1回読み問題でのメモの取り方を固める必要があります。最新の予想問題で時間配分とメモの型を練習しておくと、本番で崩れにくくなります。
Q5:シャドーイングはどんな教材でやればいいですか?
自分のレベルに合った、短めで意味の取れる音源が向いています。手持ちの単語帳の例文音声や、入門レベルのリスニング教材から始めると挫折しにくくなります。難しい長文をいきなり選ぶと続かないため、まずは1分前後の短い英文を繰り返すのがおすすめです。
まとめ:毎日の15分を積み重ねる
リスニング対策の要点を整理します。
- リスニングは単語の音→短文の構造の2フェーズで積み上げる
- 土台は音声つき単語帳。スペルと意味だけでは得点に届きにくい
- シャドーイングを毎日15分続けると、音とリズムが定着しやすい
- 共通テストは予想問題で1回読みとメモの取り方に慣れる
- 上級教材は志望校レベル次第。全員に必須ではない
リスニングは、直前に詰め込もうとしても間に合いにくい分野です。「これなら続けられそう」と感じた一冊と音源を、今日から毎日15分ずつ。読んで理解できる英語と、聞いて理解できる英語が一致したとき、得点の景色は今とは変わっているはずです。
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