「試験範囲が広すぎて終わらない」「何度読んでも内容が頭に入らない」。受験勉強では、時間の不足と記憶の定着が大きな課題です。
もし勉強時間を変えずに、参考書を読むスピードが上がり、しかも記憶の定着率も上がるとしたらどうでしょうか。それを助けるのが速読術です。
「速読は特別な才能が必要」「速く読むと理解できないのでは」と敬遠されがちですが、実は受験勉強と速読は相性が良いものです。この記事では、受験に使える速読の考え方とトレーニング方法を整理します。
速読は接触回数・集中力・俯瞰力の3点で記憶に効きます。まず目のトレーニングを行い、脳内音読をやめて塊で読むのが手順の核。英語・歴史・数学など教科別の活用法まで、記憶を定着させる受験の速読術を解説します。
この記事でわかること
- 速読が記憶に効く3つのメリット(接触回数・集中力・俯瞰力)
- 速読の前にやる目のトレーニング
- 脳内音読をやめ塊で読む具体的な手順
- 英語・歴史・数学など教科別の活用法
結論を先に書きます
速読の本質は、1回じっくり読むより、ざっと何度も読んで「接触回数」を増やすことにあります。意味が分からなくても、まず最後まで目を走らせる勇気が出発点です。
ポイントは、頭の中の音読をやめ、文字を「画像」として塊で捉えること。あわせて目のトレーニングをすると、認識できる文字数が少しずつ増えていきます。
- 精読1回より通読5回のほうが接触回数が増えて残りやすい
- 速読中は集中状態に入りやすく、雑念が減る
- 全体を俯瞰する力がつき、長文の構成が見えやすくなる
- 計算問題には不向き。使いどころを選ぶ
受験に速読を取り入れる3つのメリット
多くの受験生は「1回で完璧に理解しよう」として、テキストをゆっくり読みがちです。ただ、脳の仕組みからすると、これは必ずしも効率的ではありません。速読が効く理由を3つ整理します。
- 接触回数が増えて記憶に残りやすい
- 脳がフル回転して集中力が高まる
- 全体を俯瞰する力が身につく
メリット1:接触回数が増えて記憶に残りやすい
「読書百遍、意おのずから通ず」という言葉のとおり、繰り返し読むうちに意味が見えてくるものです。人の脳は一度見た情報をすぐ忘れるため(エビングハウスの忘却曲線で知られます)、じっくり1回より、ざっと5回・10回読むほうが定着しやすくなります。
| 読み方 | 所要時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 精読1回 | 60分 | 翌日には大半を忘れやすい |
| 速読5回(1回12分) | 60分 | 接触回数が増え、重要情報と認識されやすい |
同じ60分でも、回転数を上げる速読のほうが記憶に残りやすくなります。
メリット2:脳が集中状態に入りやすい
ゆっくり読んでいると、脳に余裕があり「今日の夕飯は何かな」といった雑念が入り込みます。一方、速く情報を処理しようとすると脳はフル回転し、集中状態に入りやすくなります。この状態でインプットした情報は、だらだら読んだ情報より強く残ります。
メリット3:全体を俯瞰する力がつく
訓練を重ねると、文字を1字ずつ追うのでなく、ページ全体を「面」で捉えるようになります。すると、現代文・英語長文では文章の構成(導入・本論・結論)が見えやすくなり、歴史・理科では流れの中で用語を覚えられます。試験本番でも、問題を素早く眺めて時間配分を決めやすくなります。
速読の前にやる目のトレーニング
速読には目の運動が欠かせません。スマホなどで眼球を動かす筋肉が固まっていると、速く読みにくくなります。勉強前のルーティンに取り入れてください。
- 上下・左右・斜めの運動
- 8の字・∞の字運動
- 遠近の運動(ピント調節)
1:上下・左右・斜めの運動
顔は動かさず、目だけを動かします。目の前の「四角いもの」(机・窓・黒板など)の四隅を、視線だけで順に追います。できるだけ速く10回、反対回りも同様に行います。
2:8の字・∞の字運動
空間に大きな「8」をイメージし、そのラインを目でなぞります。視野の限界まで大きく動かすのがポイントです。縦の「8」だけでなく横の「∞」でも、右回り・左回りを行います。
3:遠近の運動
本やペンを顔から30〜40cmに掲げ、手元の文字を見たあと、部屋の奥や窓の外の遠くを見ます。近くと遠くを交互に、瞬時にピントを合わせるように切り替えて10回繰り返します。眼精疲労の解消にもつながるため、休憩時間のリフレッシュにも使えます。
受験で使える速読テクニック
目がほぐれたら、実際のテキストで読み方を変えていきます。3つのコツを紹介します。
1:「脳内音読」をやめる
読むのが遅い人の特徴は、黙読でも頭の中で文字を発音していることです。これだと話す速度でしか読めません。速読ができる人は、文字を「音」でなく「画像」として捉えます。「非常口」のマークを一瞬で理解する感覚で、テキストを見る練習をします。
2:視野を広げて「塊(チャンク)」で捉える
1文字ずつ追うのでなく、まとめて塊で見ます。段階を踏んで視野を広げましょう。
| レベル | 見る単位 |
|---|---|
| 1 | 単語ごとに見る |
| 2 | 文節ごとに見る |
| 3 | 1行を3分割してポン・ポン・ポンと見る |
| 4 | 1行全体を一度に見る |
| 5 | 数行〜1段落をまとめて見る |
最終的には、見開き2ページ全体を視野に収めることを目指します。
3:「ソフトフォーカス」で全体を俯瞰する
文字を凝視すると視野が狭くなり目が疲れます。見開きの中心をぼんやり見ながら、周辺視野でページ全体を見るのがソフトフォーカスです。最初は内容が分からなくて構いません。見出しや太字、図表が「どこに配置されているか」を把握する訓練から始めると、徐々に認識できる文字数が増えていきます。
【教科別】速読の活用シミュレーション
速読を受験勉強にどう落とし込むか、教科別の例を整理します。
| 教科 | 速読の使い方 |
|---|---|
| 英語・現代文 | 解く前に1〜2分で全文をスキャニング。話題・結論・段落の変遷をつかみ、設問の当たりをつける |
| 歴史・公民 | 覚えるより「眺める」つもりで高速に何周も。流れが頭に入ってから用語暗記へ |
| 数学・理科 | 計算・数式の理解には不向き。問題文の把握や解法方針の復習チェックに活用 |
長文読解では、いきなり解き始めず最初に全文を速読すると、設問を見たときに「答えはあの辺り」と予測でき、解答が速くなります。一方で、数学・理科の計算や数式の理解には速読は向きません。使いどころを選ぶことが大切です。
よくある質問
速読の取り入れ方でよく聞かれる質問を整理します。
Q1:速く読むと内容が理解できなくなりませんか?
最初は分からなくて構いません。速読は1回で完璧に理解する読み方ではなく、ざっと何度も読んで接触回数を増やす方法です。繰り返すうちに全体像がつかめ、細部の理解も追いついてきます。「分からなくても最後まで目を走らせる」ことが第一歩です。
Q2:速読はどの教科でも使えますか?
長文読解や暗記科目とは相性が良いですが、数学・理科の計算や数式の理解には向きません。理系科目では、問題文を素早く把握する、解法方針をざっと確認する、といった使い方に絞ると効果的です。教科ごとに使いどころを選んでください。
Q3:目のトレーニングは毎日必要ですか?
勉強前の1分程度を習慣にするのがおすすめです。眼球を動かす筋肉をほぐすと速く読みやすくなります。休憩時間に行えば眼精疲労の解消にもつながり、次の勉強への集中も高まります。短時間でも継続することが大切です。
Q4:どれくらいで速く読めるようになりますか?
個人差がありますが、毎日続けると徐々に認識できる文字数が増えます。1日1分の目の運動と5分のパラパラ速読から始め、塊で読む・ソフトフォーカスを意識してください。完璧主義を手放し、回数を重ねることが上達の近道です。
まとめ:まずは「完璧主義」を手放す
速読術について、要点を整理します。
- 精読1回より通読を何度も。接触回数で記憶に残す
- 頭の中の音読をやめ、文字を画像・塊で捉える
- 勉強前の目のトレーニングで速く読みやすくする
- 計算問題には不向き。教科ごとに使いどころを選ぶ
速読を取り入れるとき、最も邪魔になるのが「全部理解しなきゃ」という完璧主義です。ゆっくり1回読んでも忘れるものです。「分からなくても最後まで目を走らせる」勇気を持つことが、速読習得の第一歩になります。今日から、1分の目の運動と5分のパラパラ速読を取り入れてみてください。
関連記事
免責事項
※本記事は学習法に関する一般的な整理です。読む速度や記憶の定着には個人差があり、効果を保証するものではありません。目の疲れや体調に配慮して取り入れてください。

